幽霊と一緒 〜登校編〜-3
「へぇ〜。で、何?」
「とりあえず人前で浮くんじゃない。事情を知らない奴から見れば怪しいかぎりだ。」
これで納得してくれれば良いんだが……。すると願いが通じて疾風は納得したのか
「わかったよ」
そう言われたので(おぉ分かってくれたか)と感無量の零。
「簡単だ、“浮くな”と“消えるな”だ。」
すると
「あ〜まぁ仕方ないか、いいよ」
……どうもうまく行き過ぎている。
「本心は何だ?」
「安心しきった零がいる時に大衆の前面でいきなり消えたら…………あ!」
全計画を洗いざらい喋ってしまった疾風。
「馬鹿か……」
零はその馬鹿を引っ張り校内に入った。
バタン
教室に入ると同時に机に倒れる零。前日とまったく同じ光景である。
疾風は女子たちに囲まれて笑顔を振りまいている………。すると目の前から一人の男子生徒が零に近づいてきた。
「あれ?二日連続で元気無いのか?」
その生徒はポンッと零の肩を叩く。
「なんだ蒼氷か」
力なく答える零
「なんだとは失礼な言い方だな。せっかく心配してやったのに」
蒼氷と言われた男子生徒の名は[沖田 蒼氷](おきた そうひ)
零とは幼稚園に入る前からの仲であり数少ない零の[霊能力]を知る人物でもある。
「しかしなんで六道と二人で登校なんだ?」
常識人には説明できない質問を投げ掛けてくる蒼氷。そう言えばこいつまだには話してなかったな。昨日突然だったから知らせる暇が無かっただけだが
「説明するのは疲れるから自分で考えてくれ」
[説明するのが疲れる]のではなく[疲れているから説明したくない]の方が正しい。
「え〜…」
考え込んでいる蒼氷
数分経過
「わからないな〜」
次は頭を抱え込みながら考える
さらに数分が経過
キーンコーンカーンコーン
あ、予鈴のチャイムだ。
「あ!わかった」
チャイムと同時に手をポンと叩く蒼氷
手を叩くなんて今どき見ないので珍しい光景だ。
「じゃあ何だと思う?」
こいつには悪いが半分寝ていた。
「あれだろ?あ〜……ビ、ビーエなんとか」
何でそこまで言えて最後の一文字が口からでないかが不思議だ
「……BL?」
「それだ!まさか零がそっちの世界のやつとは……」
「馬鹿か?俺はノーマルだ」そんな話をしているといつのまにか疾風が席に着いていた。
「いやぁこの学校の人たちはフレンドリーだね」
両手に色々持ちながら喋る疾風。零にはそれが自慢にしか見えなかった
「あ〜あ、俺の人気が六道にとられちまったか」
僕の頭上に頬杖しながら溜め息をする蒼氷。……重い「あはは、沖田くんごめんね〜」
疾風が転校してくる前までは蒼氷が一番のモテ男だった。しかし疾風が転校してくると女子のほとんどが疾風に動いてしまった。確かに蒼氷も顔が整っているし性格が良いので人気者だ。「あ、六道じゃなくて疾風って呼んでよ」
「じゃあこっちも蒼氷って呼んでくれよ」
「りょうか〜い」
二人が仲良くなるのは良いが頭上で会話するのは止めてほしい。