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電脳少年の失踪
【鬼畜 官能小説】

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The Disappearance of kira-1

薄暗い階段を降りた地下にその監獄はあった。

コンクリート打ちっ放しの寒々しい壁に四方を囲まれ、窓はひとつもない。
その20畳ほどの部屋は、ドアのある細長いスペースとの間に太さ30ミリの鉄棒が建ち並び、「監獄」と呼ぶのに相応しい外観を形作っていた。

灰色の塗装もない壁には鉄の鋲が打ち込まれ、そこから革製の使い込まれた拘束具が垂れ下がり、その脇には長さの異なる各種の鞭が並ぶ。教鞭用の小さく細いもの、革の長手、先端の20センチぐらいまで細かい棘を仕込んだもの。錆び付いた焼き鏝は細い物から幅の広いものまでこれも各種。他にも用途の不明な禍々しい器具がぶら下がっている。

その傍らには「X」の形をした奇妙な台。上面に綻びた黒いビニールが貼り付けられ、得体の知れない汚物で汚れ、黒い板敷きの床は焦げ跡がアブストラクト。
中央に鎮座するクイーンサイズより一回り大きなベッドの位置は低く、ところどころスプリングが飛び出し爪で引き裂いたような裂け目が口を開いていた。

そのベッドの上に、この無機質な部屋には似つかわしくない輝くような白い裸体。
膝を抱えて虚ろな瞳で座り込み、ベッドの横のチェストにあるディスプレイ一体型のPCの放つ紫色の光にその横顔を染めていた。

マッシュショートベースのボディパーマがかけられたアッシュブリーチの髪はさりげなく乱れ、監獄の暗い照明の下で天使の輪を描く。
その髪の隙間から覗く三日月の眉の下にはアイライン不要の美しい瞳が輝き、マスカラ不要の長く濃い睫毛が羽ばたく。
欧羅巴のどこかで作られた人形の服を剥ぎ取って放り出されたかのような四肢は少女とも少年とも判断が難しいユニセックス。
可憐なミドルティーン用のドレスを着せてしまえば、アイドルとして十分に通用する美少女にだって化けられる美貌の少年は、そのディスプレイの中を遊弋する人工生命とレイヤードのテキストを見つめていた。

<I will protect kira. Always be near you> ##OKUTO

人工生命型検索エンジン「億度」。
スマホを奪われても、回線や電波の届く限りキラのそばを離れない電脳の天使。
自己再生を繰り返すたびに自らをアップデートしてフォン・ノイマンの呪縛さえも乗り越えた万能の友人はキラをたちまち見つけ出し、おせっかいな程のサポートを欠かさない。
本来、猥雑な淫技を繰り広げる少年たちの映像を際限なく繰り返すそのPCに住みついた「億度」は、ディスプレイのカメラを奪ってキラを見つめる。

電子の人格に感情があるのか、ないのか。少年も「億度」も知らないまま時は過ぎて行く。


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