誘惑-2
ああ、食べられちゃう、ボク。もう、どうしようもない程、熱い。期待と不安でいっぱいだけど、この躯が止まらない。ボクの躯の中の悪魔が、欲しがってる。早く、あの、あれを。あの、凄いの、躯の中に。ボクのが膨れあがって苦しいぐらいに硬くなってるの。お尻がローションだけでなくて、ボクから出るエッチなお汁でもうドロドロッ。食べて、お願い。どうにかしてッ。こんばんわ。ボクがチンポ狂いの、ド淫乱でホモの変態少年です。
見知らぬ男の指が伸びてショートパンツの釦が弾け、キラの幼い怒張がこぼれ落ちる。下着は着けていないから、剥かれた痕は真っ裸。
ほのかに縦に割れた腹筋の下にある柔らかな下腹を脂ぎった幅の広い舌が這い回り、キラの勃起した陰茎がたちまち男の口に飲み込まれた。
男の舌は驚くほど巧妙で、キラは生まれて初めてのフェラチオの快感に身をよじらせる。
小さな火花が乱れ飛び、はしたない喘ぎ声が漏れてしまうのをキラは必死に耐える。
男の淫蕩な舌はキラの陰茎だけではなく、片脚をショートパンツから抜かれ、躯を開かされたキラの陰嚢からアヌスに至るまでの「蟻の巣渡り」までを執拗に這い回り、亀頭の裏側の思いもよらない急所を攻め立てた。
キラの陰茎から透明な先走りが迸る。もう、かつてないほどにたくさん。
溶ける。蕩ける。熱くしたチョコレートみたいに溶けちゃう。おちんちんが、お尻の穴が、蕩けて気が狂いそう!フェラチオされるって、こんなにイイなんてっ。こんなにキモチイイなんて知らなかった。ああ、巻かれる。先っぽの裏の、イイトコが襟巻きみたいにぐるぐるって。この人の、ざらってしてて、なんだか凄いっ。凄いの。ああっ!そんな、お尻の穴のそばって反則。そこ電気が走ってて危険なんだから弄ったらダメッ!もうボクの、破裂しそうっ。アアアアアッ、もっと。もっともっと、シテッ!
カットソーを捲り上げられ、足下までショートパンツを引き下ろされた、白魚のような肢体が男の腕の中で跳ねる。頬は上気して紅く染まり、潤んだ目が虚空を彷徨い、助けを求める。
耐えようとしても、耐えようとしても、耐えようと、して。
男の服に爪を立て、死にものぐるいに堪えても。
その衝動は堰を切ってキラに襲いかかった。
ドクン。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクンッ。
キラは小水を漏らした時のような恥辱にまみれて、男の口の中に精を放った。
いつも一瞬で終わるその悦楽は、思いがけないほどに長く。
キラは生まれて初めて、尿道が開くという感触を知る。
経験が無いほどの射精の快感に、キラは過呼吸に陥るほどの胸の動悸に震えながら、脱力した躯を男の身にまかせる。まるで壊れた人形のように。
クラゲと化したキラの唇に、男の唇が重なった。
流れ込んで来る生暖かい、ドロリとした精液は甘く、蕩けるほどの美味。
キラは束の間、自らの精液に酔った。
その脱力したキラの華奢な腕を無骨な手が掴み、導かれた先にある異物。
匂い立つようなホルモン臭を放つ兇悪な気配。
キラはその異物に触れ、握りきれないその肉塊の意味を知り、それは小さな叫びになった。
「アッ!………アアアアッ!」
半ば閉じていた瞳はたちまち驚愕に見開かれ、その禍々しい肉塊に釘付けになる。
赤黒い凶悪なその「魔羅」の実物は、画像で見るのとは大違いだった。
想像を超えた質量は言葉に出来ない。埋め込まれた突起はキラの使っていたバイブのシリコンではなく、もっと硬い、おそらくは本物の真珠。
震える手でひとつひとつ探ると、ざっと20個か、もっとか。その凶器を埋め込んだ棹の上には巨大なエラが左右に張りだしている。
ゴクリ。
喉を鳴らしたキラの耳に、野太い悪魔の声が囁きかけた。
「…………どうだ、美味しそうだろう?……可愛いボクはこれが欲しいんだろ?一度喰えば病みつきになるよ?これが地獄と天国の往復切符。アタマを真っ白にして幸せにならないか?」
初めて囁かれた男の声はねっとりと絡みつくようにキラの耳をくすぐった。
その声音は間違いなく精力の有り余った飢えたオスそのもの。生まれて初めて出会った性欲の塊。尽きることのない欲望で呼吸する怪物。キラの飢えを満たす豊穣。
キラはその露骨な誘惑に理性が砕けるのを隠せなかった。
男はそう囁くとキラのアッシュブリーチの髪を掴み、乱暴に自分の股間に引きずり込む。
そのぞんざいな暴力は被虐的な期待を生んだ。
目の前に姿を現した怪物は、満腹の時に差し出された1キログラムのステーキみたいだった。
「魔羅」の画像を目にしてからというもの、キラの脳裏にはそのおぞましくも猛々しい姿が焼き付いて眠れない夜が続いた。それはキラの欲望を掻き立て、数え切れないほどの凄絶な妄想を次から次へと生みだし、果てることを知らなかった。
飢え乾いた欲望を満たす約束。その名は「魔羅」。
それが今、目の前に、ある。