The depression of kira-4
そして今日。
見事当選を果たしてしまったキラはそのパッケージを開封する。
プラスティックの透明ケースに収められていたのはキュートなパールホワイト。
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FAKE COCK 取り扱い説明書
直径:4cm(最大5cm)
全長:16cm
本体:単三電池(リチウムイオン)×4
リモコン:単三電池(リチウムイオン)×2
ワイヤレスボリューム付き
シリコン製パール12個搭載
カリ太・熟女好み/激震!強力バイブ・お試しローション付き・完全防水
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可愛らしい色とは裏腹に、そのフォルムは心臓が飛び出しそうな程に兇悪。
生まれて初めて見る「淫具」の姿形にキラは動揺し、当惑した。
陰茎にこんなイボイボを付けるなんて、いったい誰が考えたんだろう?
確かに停止した動画をctrl+スクロールで拡大すると、少年に使われていたものにもそれがあった。
こんなのが、気持ちいいの?
しかし、当惑は興味に、そして好奇心に変わる。
キラは動画の真似をして、そのバイブにそっと舌を這わせた。
これが本物だったら、こんな風になめるの。あの子はこんな風に横からチュッて。舌をコロコロって。下から上までペロッて舐め上げて、モグモグ。レロレロって。それから、それから、飲み込むみたいにぐぐーって、してっ、ちょっと噛んだり、吸い込むみたいにして。「フェラチオ」って言うんだよね。ボクのを男の人が、男の人のをボクが、いっぺんに。一緒に貪るみたいに舐め合ってしゃぶり合って、熱くして硬くして大っきくしてっ!「69」って言うの。「シックスナイン」。ああ、すっごい刺激的っ!
キラは加速する妄想に我を忘れてバイブの説明書を読みあさる。
「お試しローション」の小さなパッケージの封を裂き、そのねっとりとした液体をバイブに塗りつけてみる。それは動画で少年の肛門を出入りする濡れた男根にそっくりだった。
キラはいつものように全裸になると、ベッドの上で仰向けになって子鹿のようにしなやかな美脚を開き、腰を浮かせる。
こぼれ落ちそうな大きな瞳はその淫具に釘付け。
指では果たせない、もっと大きな快楽、もっと凄い刺激、もっと絶え間ない悦楽の期待に震える。
そして、淫らに濡れて輝くバイブを肛門にあてがった。
ほんの少しの恐怖と苦痛と息苦しい異物感は、挿入と同時に消し飛ぶ。
ウンチをしていると気持ちいい。あれと逆なんだけど、悪くない。
躯の中にヘンな物を入れているという異常な状況が、言い尽くせないスリルと背徳感を生んでキラの背筋を泡立たせる。
苦痛がないのはローションのせい?ゆっくりと。ゆっくりと、出し入れ。
入ってくる時の圧迫感、出て行く時の開放感、どっちも、いい。
しばらく出し入れしていると、あのイボイボ、12個の瘤が意外といい。引っかかるのに、それが快感に変わる。内臓をくすぐられてるみたいだ。
鍵をかけた部屋の中でひとり、罪深い遊戯に浸るという罪悪感は快楽のこの上ないスパイスとなり、キラの手首に力を込めさせ、その動きを加速させる。
妄想。
ああ、知らない男の人に犯されて、るのっ。まだ小学生なのに、男の子なのに大人の男が硬くなったのをボクの柔らかいお尻に突き刺して、動かして、気持ち良くなってる。子供の内臓を性器にして遊んでる。イケナイ遊戯。お巡りさんに捕まっちゃうぐらいイケナイ事されて、ボクが歓ぶの。もっと、もっと頂戴ってせがんでるイケナイ子供。大人のチンポを欲しがる淫乱少年。どう、言われ、たって、止まらない。止まらないのっ。
どんどん昂まってゆく快感に喘ぎながら、キラはバイブに付属していたリモコンを思い出す。
片手で抽送を続けながら、そのバイブとお揃いのパールホワイトのリモコンを持って、そのスイッチとボリュームを兼ねるホイールを押し上げた。
「キャ、ア、ア、アアアアッ!」
バイブは突然生き物のように震えだし、捻りを伴ってキラの直腸の中で踊り始めた。
それはキラの肛門の形を歪めてしまうぐらいの激震。まるで躯の奥底に電気クラゲが大量に発生したかのような電流が全身を駆け巡る。
驚愕はたちまち強く、激しく、蕩けそうな快楽に豹変した。
気が付くとキラはバイブのボリュームを最大にして両手でバイブを自分の肛門の突き立て、腰をくねらせてバイブを喰らい込んでいた。
肉が、溶け落ちて、しまいそう。
抑えようとしても漏れ出してしまう喘ぎ声は止まらない。それはキラ自身でさえ訊いたことのないケダモノの咆哮。狂熱の嬌声。キラは必死になってシーツに噛みつき、声を押し殺した。
経験の無い絶頂が訪れる。
噴き出した精液はキラの顔にまで飛沫を撒き散らした。
「……………サイコ───────────────ッ!!」
焦点の定まらぬ瞳を彷徨わせたままベッドで大の字になったキラの耳には、近所で土木工事をしているのかと思うほどの心臓の鼓動が脈打つ。
呼吸はまるで喘息を患ったかのように金属のこすれ合うような音を立て、美しい鼻筋の間からは一筋の汗が流れ落ちた。
それからは、もう止まらなかった。