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電脳少年の憂鬱
【ショタ 官能小説】

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The depression of kira-11


久しぶりの外出。真夏の夜は蒸し暑く、薄着でいても不快なほど。
ブティックで買ったちょっと大胆な方のカットソーは、キラのうっすらと割れた白雪のような腹部が見え隠れするヘソ出し。ショートパンツから伸びた子鹿のような脚が眩しい。
キラの薄い化粧を施したその美貌と垢抜けた女性のような装いも充分に目を引くが、タクシーの運転手が怪訝な視線を注ぐ理由は他にもあった。

左耳に輝く真っ赤な血の色をしたルビーのピアスと、深紅の革がことさらに目立つ銀の鋲付きの首輪というアイコンが示すのは、変態の烙印。

この禁断の装いはどこの街でもたちまち珍奇な視線を集めてしまうだろう。
しかし、この新宿という街では地域限定でそう珍しいものではない。それは新宿二丁目という「ゲイの街」があるからだ。
実際に二丁目を徘徊する人々の装いからは紅い首輪ぐらいただの風景でしかない。
髪の毛を「盛った」女装のホステス、タトゥーに全身を覆われたハード・ゲイ、タンクトップの筋肉家出青年に果てはセーラー服の中年男。
「木を隠すには森」の言葉がこの街では大いに機能する。
だからといって安心するほどキラは気丈ではないけれど。

灯りの消えたビルの黒いシルエットに切り出された夜は、暗い紺碧の鏡となって空を覆い、悪魔の鎌のような三日月が空を切り裂いている。
URGAは新宿と言っても外れで、人通りは今の時間まったくない。
歩道には誰かに蹴り飛ばされた看板が灯りもなく佇み、キラはシャッターに身体を預けてアスファルトを見つめて時間を数えた。

やめる?今なら引き返せる。
表通りに出てタクシーを捕まえてしまえば吉祥寺なんてあっという間。
冷房の効いた快適な自室で、今日起きたかも知れない事件を妄想しながら思いっきり激しく淫らな遊戯を繰り返し、何度も何度も乾くまで射精すればみんな忘れてしまう。

キラはスマホにからのメッセージに耳をすます。

>24時57分 READY
>24時58分 READY
>24時59分 READY
>25時00分 NOW IS THE TIME

キラは俯いていた顔を夏の外気に晒す。

>25時01分 TIME PASSED



おっきな人。
水銀灯を背後に背負った人影は身長2メートル近い。シルエットだけで筋肉質とわかる、逞しい体躯。夏の風になびく髪は金色。
素肌に年季の入った革ジャンをひっかけ、ひとめで解るリーバイス501。
無骨なドクター・マーティンの靴が、光った。

男は澄んだ青い眼を見開いてキラを見つめ、穏やかな微笑みを浮かべた。

「This is terrible!The real one is definitely better than the picture. Are you KIRA?」

「Yes, I'm KIRA」


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