復帰、そして新たなる波紋-1
「若葉ちゃーん!」
「………。」
一緒に学校に行こうと彼女の家に向かうも、扉の向こうで朝日が昇ってるのにも関わらず暗闇に包まれ、魂が抜かれたような目で落ち込んでいるであろう彼女からの返事はなく。
「若葉…。」
隣には心配そうに娘の居る部屋の扉を見つめるおばさんの姿が。
お爺さんが亡くなってからはおばさんがどうにか父親の店を継ぐ事となり、あの一兄とかいう従兄妹とその親も色々と支援金を渡したりたまにやってきてお手伝いをしたりと、様子を見に来たり。
「学校、行こう?……いつまでも引き籠ってても駄目だよ。」
「……。」
一向に返事はなく。
「今の姿見たらお爺さん、悲しむ。」
「うるさいっ!…そんなの分かってる!」
「っ!」
突如扉の向こうから聞こえる罵声。
「若葉、そういう言い方はないでしょう?風馬君は。」
「いいからっ!皆どっか行ってよ!」
彼女の機嫌の悪さにお互い今は駄目だと諦めるように目を合わせる。
「御免なさいね、態々来てもらったのに。」
玄関まで送り、申し訳なさそうに深々と頭を下げる。
「いえ、そんな事は…。」
若葉、ちゃん。
僕は己の無力さを呪うかのように拳を強く握る。