ま-4
神戸での仕事も終わるころ
課長の前から決まっていた出張があるため、送別会は2日前に開いてもらった。
今日、定時で上がったらウイークリーマンションに帰って
少ない荷物をまとめたら、明日の新幹線で横浜に帰る。
その昼休み、女の子が慌てて食堂に入ってきて
「ね!ゴゴイチで三浦さんがシンガポールから帰って来はるねんて!」
え・・・・
「西田さんの送別会を兼ねた合コンをしよって!」
「え・・・・」
「よかったね!西田さん!」
もう、このまま会わないで横浜に帰りたい。
そんな思いは浮かれている女子たちに言い出せるはずもなく
私は逃げるのに失敗した感覚だけが身体を締め付けた。
会いたいけど会いたくない。
この矛盾した感覚をどう処理したらいいのか分からない。
こんな風に心がざわざわするのはもう嫌なのに!
やっとのことで午後の仕事をこなして
早めに、退職のあいさつ回りをする。
たった1か月だったのに
良くしてくれた人は最初の予想よりはるかに多くて
あの人にも、あの人にもと部署を回った。
海外に回ったとき、三浦さんは電話中で
そのまま私は逃げてきた。