開花-3
「ただいまぁ……。」
「?、お帰り若葉。」
溜息と共に営業をしている祖父を横切り、部屋に鞄を置き、早速エプロンを結び彼と共に店へ立つ。
「…どうした、学校で何かあったか?」
「別に。」
私の事を気に掛けてくれたのだろう、この言動一つで自分自身が大切にされている事を実感出来る。
キャベツの品出しを終え、腰を上げ一呼吸し愚痴るように口を開く。
「何かあったら、良かったんだけどねぇー。」
「………。」
この一言で、概ね私が何に悩んでいるのか察したようで、(普段の私の根暗な性格も含むのだろうが)
「若葉、ワシと少し散歩にでも出掛けんか。」
「えっ?でも…。」
「今日はもう店じまいじゃ。」
確かに夕暮れで後10分で閉店時間となるが。