開花-2
祖父とは小さい頃に母に連れられ、一度会ったくらいの面識しかなく、その時の私はお婆ちゃんっ子で、優しい祖母によく絵本を読んでもらったりお菓子を貰ったりしていて、とても楽しかった。
でも祖父とはその時はまるで会話もなく、いつも不愛想で怖い顔ばかりしていて口を開けば売り上げがどーのちゃんと会計しろだの、私からしてその当時の彼は無口で不愛想でちょっと関わりたくない人と言う認識だった。
彼の住所兼職場の八百屋の構える北海道に突如移り住む羽目となった私は当然不安と緊張の毎日だった。
大好きだった祖母は既に亡くなっているし、部屋も年寄りの住まい故に狭くて汚く父の一軒家に住んでいた時とはまるで環境もちがくて戸惑うばかり。
それでも祖父は私の事を本当に大事にしてくれた、不器用ながらも私の部屋となる所を一応キレイにしてくれて、風呂も普段はあまり磨かないと言っていたけど私と言う同居人が入ってからは毎日のように磨き、食事もうちの父と似て決して美味いとは言えないけど店の売れ残りの野菜を使用している印象が何だか新鮮で少しばかり心が晴れて。
学校にも通わせてくれた、青蘭高校と言う場所だ、まさか転校と入学を同時にする羽目になるとは。
最初は固く締まっていた緊張と警戒の糸も自然と緩み、私は祖父と共に家事を手伝うようになった、嘗ての父にしていたのと同じように。
更には店の手伝いも、常連客のおばさんも私に優しく接してくれて。
これでうちではそれなりに楽しい生活が出来たのだ、うちでは…。