お願い-2
2人は見つめ合う。
ちづるは驚いていた。
徐々に、
胸がいっぱいになってくる。
タクミを
不思議な気持ちで見つめる。
少し意地悪そうな二重の目。
黒い髪。
整った輪郭。
グレーの長袖のシャツ。
一瞬、夏に出会った時の
タクミを思い出す。
「、 、 、、、、 」
タクミ君
なんか 顔が 変わった?
こんなに
大人っぽい人だったっけ
「、 、 、、〜っ、 」
タクミ君が
求めて くれてる
私を
1番 好きな人に
求められた事
私は 今まで
あったかな
今 まで?
、 、、、 今、
なんで ?
なんで 今、
なんだろう
「タクミ君、、 〜っ、
私、、、
ん、 凄く、、、
嬉しい 、、、 」
「、、、。 あ 。 」
「 、 え? 」
「 はいーーー
断られる〜〜〜〜 」
「 、ぇっ? 」
「、、、断ろうと、
してるでしょ?」
「 ! 」
「、、暮らすの 」
「、 、っ 〜っ、
、 、 」
本当に
なんで今、なの?
「、 、〜っ、 、、
昔、なら 」
「、ん? 」
「、、昔の 私なら、、
〜っ、 きっと、、今より
自信 あったと思う 」
「、、、昔って? 」
「、 、、〜っ、
結婚、、する前の、、
働いてる、時とか 、 、
今、、、 1番、 、〜っ
情けない 、、時だから 」
1番 好きな人って
思える人に 出会ったのが
なんで 今、なんだろう
「、 、 、 、、。」
ちづるは
情けない気持ちになり
うつむいている。
タクミが
ちづるの手をいつの間にか
握っていた。
うつむいているちづるの目に
涙が浮かぶ。
タクミは手を握ったまま
ちづるの顔を下から覗きこみ、言う。
「 っ ぇーーー?
泣きたいの、俺なんだけど。」
「、! ん 」
「結婚は断られーー。
同棲も、断られ。 」
「、 、 っ 、、」
「フラれてばっかじゃん、俺。」
タクミはため息混じりに
そう言った。
ちづるは
情けない顔にならないよう
気持ちを引きしめる。
少し眉間にシワをよせ、
真剣な顔で言う。
「 、、、、〜っ 今は、、、
うん
〜っ、、 やっぱり、、
、、、、出直し マス 」
「、、、。
とーしても? 」
「、! 〜っ、 ん 」
「、、。 土下座してもーー?
一緒には暮らしてくれない訳?」
「、 ! 、、 〜っ、
、、 っ ぅ 」
「、 、 、、、、 はぁ 」
ちづるの目から、
堪えていた涙がフワリと落ちた。
タクミは、
思わずちづるを自分の身体に寄せる。
ちづるの顎を自分の肩に乗せ、
背中を擦る。
ちづるの身体が、
嗚咽を堪え震えている。