髪-1
***
ちづるはご飯を食べながら
5日前のそんなやりとりを
思い出していた。
思い出しながら
テレビ番組がCMになると
ポツリと呟く。
「 、、ぁ。
形崩れてる〜 」
「 ん? 何が?」
「これ、こっちのコロッケ 」
「 あぁ、、、。」
ちづるは
カニクリームコロッケを
箸でつつきながら
少しだけ気持ちを改めてから話す。
「、、 。 ところで 、」
「 ん?」
「、、、。
この髪型、、どーかなぁ?」
「、 、、、うん。」
「 、、変えたの、今日」
「 、、うん。
そりゃあ、、、」
「 ぁ、。
見れば、分かる、、って。
思った?
ふふっ 」
「、、、 うん。」
ちづるは、今日美容院に行き
パーマをかけた。
長いストレートだった髪は
フワフワにウェーブが
かかっている。
前髪も切った。
美容院に行く前は
横に流している形だったが
今は真っ直ぐ下におろしていて、
眉毛に少しかかっている。
玄関で、
すぐにタクミは気がついた。
青いワンピースに
フワフワの髪型がよく似合っていて
かわいいと思った。
しかしそれを
言葉にはしなかった。
タクミは
黙々と食べているがポツリと呟く。
「いっつも
かわいくしてるよね。」
「、ん、、? 」
「服とか、、。」
「ん? 私?
ぁ、、 あっつ 」
カニクリームコロッケの
中身がまだ熱かった。
少し、舌をヒリヒリさせながら
ちづるはタクミの声に耳を傾ける。
「すぐ、
制服に着替えちゃうんでしょ?」
「 ん? 仕事 ?」
「うん。」
「、、うん、 きが へる 」
ちづるは手で口元を隠し、
ご飯食べながら答える。
「、、、ふーーーん、、、」
「、 ?
洋服とかは、、うん。
やっぱり好きだから、、かなぁ」
「、 、 、、、。」
「 ? 」
?
ちょっと 疲れてるのかなぁ
スーパーも 混んでたし
あまり沢山話すのは悪いと思い、
ちづるはやっているテレビに
興味があるふりをした。
タクミも黙ってテレビを観ていた。
それから2人は別々に風呂に入り、
寝る時間になった。
先に風呂を入り終えたタクミは
寝室で、布団の中でうつ伏せになり
スマホをいじっていた。
ライトグリーンのパジャマを着た
ちづるもリビングの灯りを消して
寝室に来たが、タクミはまだ
スマホを見ている。
ちづるはタクミの隣に敷いてある
布団に入ると、静かな声で
「消すね。」と言い灯りを消す。
部屋は豆電球の灯りだけになる。
ちづるは
仰向けでぼんやりと豆電球の灯りを
見つめた後に目を閉じる。
すると、
タクミがスマホを布団の横に置き
ちづるに言う。
「 、、ねーーぇ。
キスは? 」
「 っ 、、、ぇ ? 」
ちづるは思わずギクリとする。
タクミを見ると身体がモソモソ
動き、自分の方へ移動してきている。
ちづるが言う。
「 ゃーー、、、
今日は、、 ぁの、、
いいよ
! 〜っ んっ 」
遠慮気味な声でキスを断ろうとした。
しかしタクミは
その声を聞くと同時にちづるに
覆い被さりキスをする。
「ん、、 ふぅ ん 」
舌がゆっくりと入ってきた。
長いキスをする。
タクミはキスをしながら
ちづるの手を握り
もう片方の手を
パジャマの中に入れて
背中と腰をゆっくりと撫でる。
「 んん んっ、、 」