の-6
私の手を離して、そのまま肩に回った手は
指先で顎をとらえた。
そのまま私の顔を三浦さんの首筋に埋めさせて。
優しく髪をなで続ける。
キスするのかと思った。
キスしてもいいと思った私は
きっと、もうとっくに三浦さんに惚れてる。
理由なんかいらない―――
その言葉を喉の奥から飲み込んで
熱い吐息を三浦さんの首筋に這わせて行く。
そのたびに、髪をなでる手が一瞬止まって
次の吐息を催促した。
大好き。
そんな感情は久しぶりで
酔った頭で
「本気になるな」
と、自分自身に警告する。
もう、あんな自分になりたくない。
けど、今日だけは何も考えたくない。
好きな男に抱かれるってどんなだったっけ。
必死に思いだそうとして
可笑しさがこみ上げてきた。
「なに?」
小さく笑った私に気がついたのか
そういう三浦さんに
「何でもない」
そう呟く。
男なんか比べられる訳がない。
「今」好きなのはこのオトコなんだから―――