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『胸ポケットの想い出』
【悲恋 恋愛小説】

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『胸ポケットの想い出』-2

何故……
どうして……

答えを捜して俺の頭は空回りしていく。


『貴方の為なの……』


小さな桜色の唇から淡々と紡がれる言葉に、俺はまるで迷宮に迷い込んだみたいに出口が、理由が見つからなかった。


『理由を教えてくれよ。俺に悪いところがあるなら言ってくれ。こんなの突然すぎるぜ……』


一方的に告げられる別れなんか納得出来ない。お前にとってそんなものなのか?俺って存在は……

渇いていく唇が震えた。

どんな答えであっても理由が知りたかった。それが俺を打ちのめすとしても、納得出来る答えを俺は求めた。


『貴方のせいじゃないの……貴方は悪くない。全部私が悪いんだから……』
『答えになってねぇよ!!俺が知りたいのは理由なんだ!!』


募る焦燥感、不安という色で塗り潰されていく心……
それが俺の言葉を荒げた。

『ごめんなさい……』


違う!!

謝って欲しい訳じゃない!
お前を責める訳じゃない!

こんなのってないだろ?
やり直す機会すら与えてくれないのか?

こんなの……

こんなの……


『ひでぇよ……』


俯いたままの俺の口から、ポツリと言葉が漏れた。

その台詞にお前の瞳が揺れたのを、俺は気付けなかった……


『酷いよね……私って本当に酷いよね。だから、私のコトなんか忘れて……もう貴方の前に現れないから……』


その言葉に顔を上げた俺の目に、瞳を揺らしたまま微かな笑みを浮かべるお前が映っている。

まるでスローモーションの映像みたいにゆっくりと背を向けてお前が遠ざかっていく……

俺の傍を離れていく……


『なぁ……本当に終わりなのか?もうダメなのか?』


最後に俺は言ってみたけど、お前から返って来る答えなんてわかってた。皮肉かもしれないけど、三年間も付き合っていたんだから……


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