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『胸ポケットの想い出』
【悲恋 恋愛小説】

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『胸ポケットの想い出』-4

最期にお前が俺の為に選んでくれた別れの餞別。自分は反対したんだけれど、もし君が今日ここに現れたなら渡して欲しいと頼まれたのだと言った、お前の父親の言葉が今も耳に残っている。




もう、あれから五年も経っちまったな。

あの時、高校生だった俺も今は普通の社会人……

「クックックッ……」

思わず苦笑いが零れた。
普通の社会人が平日の真昼間にこんなところでサボりか?


なぁ……

俺は少しでもお前にいい想い出を遺してやれたかな?

楽しかったって笑ってくれるか?

俺はもう一本、煙草を取り出すとゆっくりと咥える。あの時のお前のプレゼント、今も大事に使ってるぜ?

お前の父親から最期に貰った電話の日から、毎年俺はここに来るんだ。

お前と初めてデートした、ここに……



“カキン……シュボッ”



お前の最期のプレゼントが俺の煙草に火を灯す。

ポツリポツリと降り出した雨が、まるで今の俺の表情をごまかしてくれるみたいだ……


………ジュッ!………


不意に一滴の雨が煙草の火を消した。



《あんまり吸い過ぎちゃダメよ……》



雨音に紛れて、軽く俺を睨みながら呟くお前の声が聞こえた気がした……


「ああ……わかってるさ。」


そして俺は静かに灰皿に煙草を押し付けて席を立つと、いつもの日常に帰って行く。


あの頃の想い出を胸ポケットにしまって……




END


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