第29話『牝馬!あるある大事典』-5
『いやー、どもならんね。 海運業の景気は悪いし、携帯電話は爆発するし、大統領は整形するし。 ニュース見るたびストレス溜まってしょうがない』
「ストレス解消、いい方法があるで。 そこらへんにいるウマをしばいたるねん」
『ええっ、ウマしばくのん? そんなん可哀想やん』
「それが全然かまへんねん。 裸のウマってな、ヒト様に服従するのがお仕事やから、なにされても文句いわへん。 ビンタしてもええし、唾吐いてもええし、おもいっきり乳揉んでやってもええんやで」
『別に同性の乳もんだところでどもならんけど』
「マンコ舐めてもええし、なんなら自分のマンコ舐めさせる? 裸のウマは轡が無い分、舌でペロンペロンしてくれるんやって。 オケツもいけるらしいし、やってみたら?」
『いや、だから同性に舐められても気持ち悪いやん……っていうか、ホンマに大丈夫なん? そんなことして、あとから仕返しとかされへんかなぁ』
「それは大丈夫や。 ただ、大怪我はさせたらあかんねんで。 擦り傷切り傷引っかき傷くらいはいけるけど、骨折とかになると【虐待】になって、動物虐待で捕まるさかい」
『いやいや、そう簡単に骨折て。 ないわー』
「ところがそうも限らへん。 ウマには悪いやつもおってな、こっちがちょっとつついただけで思いっきり壁にぶつかって、自分から骨折るやつもおるんやで」
『ええっ!? そんなんアリなん? そうなったら、ウチらが捕まってまうってこと?』
「その辺りがようわからへんのよな。 こっちがかるぅく突いて、その拍子にウマがわざと怪我したなら、どういう事情になるんでしょ? よければ教えたってつかわさい」
『それにしても、ウマだけに『上手い』ことやりよるもんやね』
「もうええわ、ありがとうございました〜」
ちなみに裸馬に課される唯一の条件が、ヒトに対する絶対服従。 一定期間の服従を完遂して初めて、ウマとして認められ、ラバースーツ、ハミ、ブーツ、テール付アナルプラグ一式を受け取って露馬になる。 露馬になるまではウマとしての保護を受けることもできず、まさしくヒトから『やられたい放題』な毎日なので、殴られても弄(まさぐ)られても、一切の抵抗は許されない。
そんな中で唯一裸馬の味方になるのが、軍馬であり騎兵でもある。 裸馬に対する過度な暴力を軍馬が目撃すれば、その証拠が警察に送られ、加害者は動物虐待の過度で禁錮を受ける。 なので定まった宿をもたない裸馬たちは、大通りや広場を好んで屯ろしているが、偏に軍馬がよく通る場所なためだ。
2つ目の依頼に対する回答はこちら。 『無罪:一切の罪に問われない』 裸馬に対する暴力判定は、映像や讒言ではなされない。 警察機能を委託された軍馬ないし騎兵が、現場を抑えた場合にのみ下される。 故にワザとウマが自身への被害を拡大する行為をしたとしても、そんなものは軍馬が簡単に見破るため、暴力判定とはみなされない。 却ってヒトに怒りを注ぎ、より激しい暴力が待っているだけだ。 また、そのような虚偽をなす裸馬はいつまでたっても高評価を得られず、露馬に昇格できないまま延々街頭で全裸を晒す羽目になる。 結論として、裸馬は演技で自分を守ることは考えず、ただヒトに対して忠実に服従することだけ考えればよい。 ヒトは裸馬に対する最低限の配慮は忘れず、思うがままに感情をぶつければ事足りる。 お互い完全に利害が一致することはないものの、過度な自己防衛は墓穴につながることは確かだ。
以上、3番組。 『ウマ検定』未習得者に課せられた視聴番組の例として、『2ch』に複数開設された『ウマ化情報番組』から、『牝馬! あるある大事典』『ためして馬ってん』『生活ウマ百科』をピックアップした。