復縁-6
僕は床に深々と額をつけた。
「…何の真似よ?」
「君を傷つけ裏切った事、とても悪いと思ってます!それで君に恨まれあんな事されても仕方がないと分かっています!」
夕暮れの美術室、他の部員が帰った所で僕は彼女を呼び出すやいなや大事な取引先に謝罪するかの如く土下座をする。
「なら、私と付き合って。」
「ですからお願い致します!もう僕らに金輪際関わらないで下さい。」
「ちょ、だから…。」
「どーーーか何卒宜しくお願い致します!」
「私からもお願い!もうやめて…下さい。」
「若葉ちゃん!」
こうする事を決め、「僕の部員だから…」と僕一人でどうにかやるつもりだったけどやはり見るに堪えれなかったか、やはり来てしまったそうで。
色々と考えた結果、こうするしか他になかった。無論単純で効き目があるとは到底思えない、何か突破口があるとしたら稲葉さん彼女の本来の人間らしさ、僕はあの日彼女を助けそして僕が例の佐伯君刺殺未遂で男子達に虐められた時、助けてくれた彼女、それが本来の稲葉明日香だと信じている。
「ばっかじゃないのアンタら…」とでも言わんばかりの目で僕らを見下し、何を言うでもなく部室を後にする彼女。
今後どうする気なんだろう、やはりまだ憎しみが抑えきれず僕らを…
でも、僕は信じてる…
いや、信じたい……
次回、60話に続く。