36歳の婚活 本編8頁目-1
わたしを囲むように聳える美術書や専門図鑑が揃えられた大きな本棚の下で「嘘でしょ」と呟くのが精一杯だった。
脚元に落とされたスウェットを横になりながら手繰り寄せ太腿に零れる気持ち悪い液体を隠すように柔らかい素材の高級スウェットに不器用に脚を通して直人の言葉を思い出していた。
「最初から分かっていたんです。あなたのお尻は確りと上を向いてその弾力はまだ衰えずに張りを保ちお尻を支える腰元も立派な括れの曲線を美しく保っています。大きな身体の豊満に熟した女性がそのスタイルを維持し続けることは凄いことなんですよ」
直人はわたしを褒めているようだった。36歳のわたしは頑張って維持してきたその努力を褒められ本来は嬉しく感じる筈なのに、突然襲うように挿入して全く予告なく目一杯に中に射精して犯すようにわたしの身体を愉しんだ直人に「やられたわ」と悔しく呟くことしかできなかった。
「湯船にはこちらの扉からも移動できますよ。どうぞこちらです」
図書室の奥の扉を差しながら施錠の解除を伝える神経質な機械音を部屋に響かせ直人はわたしを促していた。
「よく言うわ。あなたこそ先に入ってそのだらしない股間を洗って頭を冷やして来たほうがいいわ。あなたはね犯したのよ。ちゃんと分かってるのかしら」
直人は満面の笑顔で「気持ちよかったです」と屈託なくわたしに瞳を輝かせて「3回目のデートで結ばれて少しホッとしました。お先にどうぞ」と恐ろしい返答を返しわたしは唖然とすることしかできなかった。
「今日はゆっくり泊まっていって下さい。夕食は豪華に手配しておきましたから後で迎えに行きますね」
唖然とするわたしを残し全く悪びれる様子はなく無邪気な笑顔で直人はそう告げて側面の扉から出て行ってしまっていた。