そして奏でられなくても-1
昼休み―――
人より早くお弁当食べて、さっと走って吹奏楽部準備室に向かう…
そんなあなたは私がみていることなんて気付くよしもないよね…。
私は吹奏楽部コントラバスパートの、平山 ありさ。コントラバスはバイオリンのおっきいのって説明できますかね。その名の通り低音をしている私は高音に憧れていた。
さっきの彼の名前は杉原 雅人先輩…パートはフルート。
背は低くて眼鏡を掛けていてそれなのに声がとても低い…私の好きな人。
音楽が好きだって言ってた先輩はとても楽しそうで私まで幸せになる。ただ見てられるだけで幸せだった…。
だって告白する必要がなかったんだ。先輩には好きな人がいてひどいふられかたしたって…。
告白なんてしないから。私は協力してもらってる後輩でもある先輩の弟の猛くん…にそう言った――。
「先輩、ちゃんといわないと後悔しますよ!」
その通り……。逃げてるだけだから。
「じゃぁ猛はさぁ好きな人いないの?」
「え、いますよ。」
猛を本当に弟にできたらいいのに。いつもそう思うの。でも違うただ―――願いは一つだけ
実は私は一つの恋をこの恋が始まる前に終わらせていた。春から始まったその恋は三月、幕を閉じた。そんな普通のお話。
でもこの話には裏があって春――まだ入部して間もない頃、私は雅人先輩が大好きで、でも友達も雅人先輩が好きだったから諦めて?と頼まれたのだった―――――。無視することもできた。けれど大切な友達…私は新しい好きな人をつくった。自分の先輩だった。
優しくって背が高くて………でも好きだった。
本当に本当に好きだった。だから見守るだけの片思い―――だけど
雅人先輩は全部知っていたの。
私がその間に何をしたのかも。
黙っていてくれてありがとね。
そんなことがあって私は昔より天の邪鬼になってしまった。
「先輩っっ先輩ってば」
猛の声でふと気が付くと猛は膨れっ面だった。
「ぇ?どしたの猛?」
猛はためいきをついてもう一度説明した。
「…だから俺は宮崎が好きなんですって……」
…猛は一生懸命ゆっくり発音した。綺麗な少年の瞳―――さすが雅人先輩と似てる。
「そうなんだ。あの子可愛いよねぇっ!あれ、でもさぁ…宮崎さんって小学校同じじゃないよね?」
私は返答を述べたけれどどこかうわの空だった。
「先輩どうにかしてくださいよぉ」
私のほうが助けを求めたいくらいよ。
次の日――
「先輩っていつから修学旅行だっけ?」
「来月の頭じゃない?」
そう、先輩は修学旅行にでかける。しばらくあえなくなる。
私は深くため息を吐いた。
けれどその日のニュースが切っ掛けで私は動くことになる。ニュースは修学旅行にいった電車が路線を外してしまい多くの重軽傷者を出し中には死亡者もでた――というもので私は危機を感じた―――。
もしかしたらもうあえなくなっちゃうかもしれない。