奪われた幸せ-8
「これは?」
風馬君の家で、おばさんが私達に見せたスイーツ。それは小さくて可愛らしいプチケーキその上には砂糖菓子で3人の人が仲良く並んでいるようで、これはまるで。
「…八重樫さんがね、「いつか本当の意味で一緒になろう、一つになろう」って長い時間をかけ苦労して作ったんだって。」
「……。」
その人形の顔は本当に彼らそっくりだ、良い顔をしている。
「…でも、もうっ!それは叶わなくなったけど、でも私は今でも思ってる!私たちは3人だって、彼が丹精込めて作ってくれたこのケーキがそう言ってる気がするんですもの。」
「母さん…。」
その顔は涙ながらも嬉しそうにも見え。
「風馬…。」
彼はそんなおばさんを抱きしめ。
「そうだよ!八重樫さんの分も頑張る!母さんは僕が護るからっ!!」
「っ!」
息子のたくましい言葉に目をぱっと見開き抱き返す。
「……また二人だけになっちゃったけど頑張ろう!」
「うん、うんっ!」
やっぱ彼は本当に素晴らしい人間だ。
この前まで怒りや悲しみに満ちた涙がうれし涙と変わり、ほっと胸を撫で下ろす。