奪われた幸せ-4
近くの椅子に腰を下ろし、彼が買ってきたホットのお茶を手渡され。
「はぁーーーーー。」
両手でボトルを掴み、温かいお茶が喉に滑らかに通り、イベント用か何かのバルーンが勢い良く躊躇なく空気が抜けラクになるように一気に力が抜け。
彼の話だと確かにアイツが玄関で待ち伏せて居て、自分をまず亡き者にしてやろうとするもおばさん、そして八重樫さんが止めに入り、揉めている内に奇声を上げ思いっきり彼の腹部を刺し倒れこみ。邪魔者が居なくなり親子を襲おうとしたら先程の警察が話すように通りすがりの人に阻止され現行犯逮捕され。
「…どうして、連絡してくれなかったの?」
「………。」
答えてくれず、というかそんな力も残ってないようにも見える。
「っ!そっか、そうだよね。」
その理由を考えすぐに気づく。彼は目の前で大事な人が刺された訳だし。
「…ごめん。」
彼の事も考えず、自分が心配した事ばかり言って。
「ううんっ!本来なら真っ先に知らせなきゃいけないのに、君にこんな思いさせて。」
八重樫さんが手術室に入った後、最初はおばさんと二人で待っていたのだが、長時間の不安に耐え切れず気分を変えようと中庭で外の空気を吸い、落ち着いた所でジュースでも買っておばさんについて居てあげようとしたそうで。
やっぱり病院何か大嫌いだ、佐伯君、お爺ちゃん、思えば普通の人にしては多く私の大切な人が手術を受け、その度震えて無事を祈り。
「…もう嫌。」
「若葉ちゃん…。」
こんな風に病院に行くのは今回で最後にして欲しい、本当に。
顔をがくっと下げ、両手で塞ぎ。そんな私に彼は寄り添い。
「……アンタが無事って事は、今手術を受けているのは。」
そんな空気を換えるように巴ちゃんが口を開き、事を進める。そうだ、問題はまだまだこれからだ。
「八重樫さん…。」
「風馬君。」
それを耳にし、険しい顔を浮かべる彼。