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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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奪われた幸せ-3

「……。」
「…若葉。」

結局おばさんから誰が刺されたのか聞けず、思い余って手術室を開けて今手術を受けてる人を確かめてやろうとしたが、巴ちゃんに止められ。いや止めてくれて。

考えなしに自販機コーナーへと歩み寄る私達。

「うっうう、嫌だ、嫌だよぉー。」
「……。」

シーンと静まりかえる病院、夜だから当然だけど。

今頃あの最低男はどうしているんだろうか、何も悪い事もしてないただ普通にお互いを想って相手の幸せを願って前向きに生きる人間を、そんな自分勝手な考えでぶち壊して一体今、何を考えているんだろう。

真剣な面持ちの警察官に両腕を掴まれれつつこんな私達を見て微笑んでいるのだろうか?
復習を果たした、せいぜいもがき苦しむがいい…だの。

「……。」

そう考えれば考える程腸がにつかえってくる。手術室にも入れず、アイツを殺して永遠の地獄に葬ってやる事も出来ず、ただただ無力に何も出来ずに居て。

「しっかりして!若葉。」
「…でも。」
「ちょっと飲み物でも買ってくる。」
「あっ!…う。」

半分そんな弱気な私に呆れるようにスタスタと自販機へ向かい、私は腕を伸ばすも手遅れで、すぐさま彼女が小さく見えて。

「……。」

そんな事は分かってる、でも、やっぱり。

幸せな彼との未来の為に私自身も強くならなきゃいけないのは分かっているけど、でも。

………。

…………。

駄目だっ!

私は己の欲望に負け、もう一度手術室いやだんまりしてるおばさんを問い詰めようと向かってしまう、すると…。

「……っ!」

そんな私の元に現れた、風馬君。

一瞬疲れて幻でも見たかと思ったが。

「え……。」
「………。」

彼は何を言うでもなく私を強く強く抱きしめ。

「心配掛けてごめんっ!!」
「っ!……。」
「…僕なら無事だよ…。」

いつもの優しい声で優しい笑顔で私を見つめる。

「うっ、……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」

ジュースを両手に握った巴ちゃんが私と彼をじっと見つめる、複雑そうにでもうれし泣きにも見える安堵の表情が。


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