36歳の婚活-1
目の前で彷徨う反り返った勃起の先端から溢れ出る液体を指先で滑らせる直人を見上げわたしは全ての絶望を理解していた。
初回の食事で完全に警戒を崩され2回目の食事で小金持ちを見せつけられ「いい男、掴まえたわ、絶対に逃すものか」と目一杯に将来の希望を与させていたのは直人の思惑だったとようやく気づいていた。
希望を目一杯散らつかせ無防備になったわたしを嘲笑いだからこそ笑顔があふれる直人だったことも理解していた。
わたしは直人の思惑通りにその希望に心を踊らせ綺麗に着飾っては誘うように振舞っていた。そんなわたしを確証した途端、予め用意していた恐ろしい行動力で一気にそれを壊しに襲ってきた直人にわたしは世間を甘くみていた拙さを完璧に突きつけられていた。
「ようやく、気づきましたか」
直人は楚々り立った勃起を彷徨せながら満面の笑顔でわたしを見下ろしていた。
「初めて会ったとき」
「あなたには隙だらけでしたから」
「最初からこうなるんだなと」
「分かってたんですよ」
異常な指使いで勃起した先端の液体を滑らせ、爪先立って恐ろしい角度で腰を震わせ厭らしい目線でわたしの腰回りを舐め回し言葉を切りながら発するその呟きはわたしを諦めさせるには十分な姿だった。