36歳の婚活-1
咄嗟に口を背け逃げだそうとしたその時だった。
陶器が砕ける強烈な破壊音と轟音と共に粉々に飛び散る硝子の破片が耳を掠めて辺り一面に降りかかっていた。
「動いては、だめですよ」
直人はテーブルに置いた紅茶の陶器を硝子テーブルに目一杯、殴りつけたようだった。
わたには、心の底から言葉にならない悲鳴を叫ぶことしかできなかった。
「紅茶、入れ直してきますね」
直人は、勃起した異常な姿を翻して、遠くのダイニングに向かおうとしていた。
わたしは、反射的に逃げようと立ち上がったが、震える脚先が絡まり、硝子が散らばったフロアーに激しく身体を打ち付けてしまっていた。
「大丈夫ですか」
「お怪我は無いですか」
直人は、勃起した異常な姿で、わたしを不思議そうに見つめ返していた。
床に叩きつけられたわたしは、異常に勃起して不自然な姿勢で見つめてくる直人に、愕然と言葉を返すことができなかった。
「トイレなら、ダイニングの隣からも行けますよ」
「こちらですから案内しますよ」
直人は、勃起した根元を中指と親指で器用に上下させながら、張り切れそうに勃起した先端から溢れでる液体を垂らして、わたしの方に近づきながら、左手を差し伸べようとしていた。
恐ろしくて、声をだすことができなかった。
「気持ちいいなぁ」
「分かってたんですよ、最初から」
わたしは、理解できる限界を超えていた。
「綺麗に見せていた、あなたの脚は、あなたが思っている以上にふくよかで、綺麗というより、柔らかそうに少し太いくらいです」
「隠してるつもりでも、暴露てるんですよ、艶のある太腿と肥えて育った大きなお尻のことは」
「一度、結婚したってことは、普段から中に射精されることに、慣れてるってことも意味してるんです」
全く理解できなかった。
直人は、わたしを見下ろすように、中指と親指を激しく上下させながら、爪先立って、両脚の筋肉を吊り上げて、わたしの腰回りを眺めながら、射精しうそうに腰を震わせていたが、突然、その恐ろしい動作を止めて、わたしの横で反り返った勃起を彷徨わせる、あの時の状態に戻っていた。
わたしは、恐ろしさの限界を越えて横に立つ直人を見上げることしかできなかった。