最終章 海女菩薩-1
第１部 人質
このお話は江戸初期の瀬戸内海のある漁村での物語です。
季節は初夏、ある浜辺の出来事です。
お良の長男、太助は１８歳になり逞しい少年となりました。
最近になって、海辺で貝が取れなくなり、
子供がおぼれ掛けるようになることが多くなったと言う噂を聞き、
男気のある太助は原因を突き止めようと海辺に出向いた。
太助が海に潜ると沢山の蛸が貝を漁っているではないか、
太助 （畜生、こいつらが原因だったのか、）
太助は棒をもって蛸たちを追いやりました。
その時、太助の背後に大きな黒い影が現れ太助に襲い掛かりました。
そのころ、母親のお良は近くの魚場であわびを取っていました。
お良も今では４０歳をすぎ色気も有り余るほど妖艶で肉体も豊潤で
回りの男がいつもお良の体を舐めるような視線を感じる事も少なくは無かった。
お良は体も大きく力も強いのでお良を手籠にする男もいませんでした。
また、お良も死別した夫の庄助に操を立てていましたので体が男を求めても
男を寄せ付ける事も無く、息子の２人を海女業一つで育ててきました。
長男、太助１８歳 次男 佐助 １２歳となり幸せに暮らししてきたのですが、
不幸は前触れもなく突然襲い掛かりました。
お良は太助の悲鳴に聞き、沖の方を見渡すと、
なんと太助が蛸の群れの中に入るのではないか、お良は大変驚きました。
そして、お良の前に突然、大きな蛸が現れ人間の言葉で話し出すではありませんか、
長老蛸 （お良、久しぶりだな。）
お良 （私は妖怪の蛸など知り合いはいないよ、）
長老蛸 （おまえは知らないだろうが、わしら艶蛸一族はおまえが海女を始めてから
今まで海の中からおまえの事を長い間、見守ってきたのだよ、そしてなぜ、
おまえの事をよく知っているか、理由を話そう、そしておまえの宿命を、）
お良は震えた、妖怪蛸が言い放った言葉に、そして今までにあった不思議な経験、
それは、いつも海中で何者かが自分のからだを嘗め回す様な視線を感じる事が多く、
そして、海の中を泳いでいる時に自分の股間や肌に優しく触れ、又
いやらしく触ってくる感触、しかし、いつもその者の姿は見たことが無いが
気配を感じた経験は何度もある。
その後に気が付いた、ふんどしに男の精液みたいなものが着いている事が
しかし解らなかった。
なぜ、今やっと解った気がするすべてこの艶蛸の仕業だと。
お良 （あんた達、私に何か用があるのかい、）
長老蛸 （そうさ、用があるから会いに来た、そして、お前の息子を人質にしないと
おそらく、お前はわしらの話や頼み事を聞いてくれないだろうと思うから息子
を人質にさせてもらった。）
お良 （わかったよ、太助に何かあったら大変だからお前達の話と頼み事を聞くよ。
だから太助を解放して 頼むよ、ネ 私も覚悟して話を聞くからさ、）
長老蛸 （まずは、わしら艶蛸の事から話そう、わしら蛸の性だがメス蛸はオス蛸に比べ 数が少ないメス１匹くらべオスは３０匹じゃ、また妖怪蛸なので特にオス蛸の性欲が普通の海蛸にくらべ３０倍じゃ又メス蛸は発情期しか性交しないのでオス蛸は性欲が余って凶暴になり、お互いに殺し合いや生まれてきた大切な子蛸たちなど殺してしまうのだ。
このままでは、わしら艶蛸は絶滅を待つしかないのじゃ、
しかし、４２年前わしは艶蛸の神に祈り、
願ったら神より予言が下ったのじゃ、
明日、お前達の縄張りの近くにある人間界の村に女の赤子が生まれる。
その子はお良と名が付けられるであろう、そしてお良が４０歳すぎて熟女
になり人の親に成っていれば、
お前たち艶蛸一族は滅ぶことはないと言う、お告げがあった。
ただし、それだけではだめじゃ、お良を子供達と引き離し、
お良を略奪し、５０年間われらの宮殿で艶蛸一族のオス蛸１０８匹が
お良の肉体を色責めで快楽の虜にする事が重要、
そして、毎日、毎晩お良を嬲り行かせ快楽に溺れさ、
媚肉の淫水、そして母乳をオス蛸１０８匹が吸い尽くす事。）
お良 （勝手な事を言うな、ムチャクチャじゃないか、お前たちの
宮殿は海の中じゃないか、それに５０年も監禁されて
私は何を食せばいいんだ。それに、私にはもう母乳は出ないのよ、
それから快楽責めに気を遣られれば命が幾つあっても足りないじゃないか、）
長老蛸 （おまえの問に答えよう、まず、わしらの宮殿は海の中ではないぞ、
そして、われら艶蛸と性交すれば人間の女は直ぐに
母乳が出る肉体と成るのじゃ、
そして、オス蛸の精液がおまえの女陰に注がれれば精力が着くので
お良は性交の後は満腹感を感じ餓死はしない、それから不老長寿の
効果もあるので５０年たっても若さも美貌も衰えない、
お良にはよいと思うが、申し訳ないと思うのは
子供たちと別れなければならない事，不憫だと思う。）
お良 （それじゃ、私は蛸たちの慰み者で５０年も尽くせというの、
それから私が子供を儲け、40歳の歳に成るまで蛸たちが待っていたのは
どう言う事なの、）