打ち砕かれた家庭-4
「信じられないっ!」
昨夜の事を話すと案の定怒り狂い。
「…きっと僕を狙ってた気がする、そうやって元妻である母さんを追い詰めて。」
「何て、何て最低過ぎるの。」
今にも爆発しそうな彼女、シーンと静まり帰った公園、僕の腕には絆創膏が。
「警察は何してるのよ!」
「落ち着いてよ。」
今回は怒りキャラで終わりそうだ。
「確かに昼間はパトカーが巡回してるけど。」
「警察が異常無しと判断し去った後に弱い者虐め!はぁー。」
「若葉ちゃん…。」
まぁ、気持ちは分からなくもない。
「どうするの、このままじゃアイツの思うツボだよ、まーた。」
「分かってる、警察だけ限界でしょうから。」
「…何とか説得出来ないかなー。」
「無理だよ。」
「だよねー。」
浮気して僕ら親子を見捨て、向こうでも会社の金を盗み自分を想ってくれた人を裏切りそれを僕らのせいと逆恨みするようなクズ。
「…そうかな。」
「えっ、今なんて?」
「殺そうかな、あんな奴。」
「ふ、風馬君!」
あぁいうのは例え逮捕出来たとしてもすぐに釈放され若しくは脱獄するに違いない、説得も駄目なら。
「そんな事、口が裂けても言っちゃ駄目。」
「…っ!そう、だよね。」
アイツが母さんや八重樫さんの仲を打ち砕こうとしてると想うとつい。
「分かってる、でも大丈夫きっとすぐに治まる、警察だってアイツの事マークしてる訳だしそれならば。」
「…でも、気を付けてよ?」
「勿論。」
「…二人の事も良いけど、風馬君の身に何かあったら、私、私…。」
「若葉、ちゃん…。」
今にも泣きだしそうな顔をし出し。
「大丈夫だよ絶対!」
「風馬君。」
「僕らを虐めて満足した筈、それに警察に追われては下手な動きも出来ぬまい。」
この時、僕は後悔した。
安易な考えは時に取り返しのつかない結果になる事を…。