布団-2
「? つらく?
んーん。 ならないよ。」
「、 え?」
「? なんで? 」
「 ぇ? 、、、いや。
今はともかく、昔とか。
旦那さんが帰ってこなくなって
、、匂いとか、思い出すと
寂しくなる時期があった。
みたいな話じゃないの? 」
「んーー、、?
違う かなぁ。 」
「 ぇえ? ? 」
「隆史、、。
ぁ、旦那 ね?
香水を、つけてたのね?」
「、、、うん。」
「そんで、その、、。
タバコの匂いと香水の匂いが、
混ざってて。
その匂い、昔から苦手だったの。」
「、 、、、、。」
「だから、布団もなんとなく、、。
出さなかった の かも。 」
「、 、 、、。」
「でも、いっぱい干してたし、
シーツも新しくしたから。
残ってなくて良かったよ。」
「、 、 、、ちょっと、それ」
「? ん?」
「問題発言じゃありません?
おねーさん。 」
タクミは、鼻でフッと笑う。
ちづるはその意味が分からず、聞く。
「? ? 何が? 」
「昔から?
旦那さんの匂い、苦手だったの?」
「 ? 、、うん。」
「、、。
匂いが苦手な人と
結婚したの? 」
「、! んーーー、と。
まぁ うん、、。
でも ほら、、
結婚て、その、、、
そういうトコだけじゃ、ないから」
「 っ ぇーー??
そこは大事なトコじゃない?」
「、、んーーー
そーかなーー? 」
「 ふふ、、
まぁ、、 いーや。」
タクミは隣のちづるに手を伸ばし
頬を撫でる。
頬から感じる
タクミの暖かい手のひらが心地よい。
ちづるはじっとタクミの目を見つめる。
タクミが言う。
「俺の匂いは? 平気?」
「 え? 」
「まぁ俺は、、
タバコも香水もないから、、。
平気かな〜? 」
「 うん。
タクミ君の匂いは 」
「 ん?」
「好き。
、、いい匂い、するから。」
ちづるは、
照れて目を泳がせながらそう言った。
「いい匂い? する? 」
タクミが、
自分の二の腕と脇の辺りの匂いを
嗅ぐ動作をするが
よく分からないらしく
首を傾げている。
ちづるが言う。
「するよ。首の、後ろのトコ 」
「 、、そこは自分じゃ
嗅げないわ。 」
タクミは笑ってそう言うと、
ちづるの頬から手を離した。
ちづるは再びタクミの目をじっと
見つめる。
ちづるの目が何かを訴えている。
今、ちづるが何を欲しているか
タクミはすぐに感じ取り、
微笑んで言う。
「なぁーにー??」
「んっ? 、、、。
なんでもない。」
「、、うっそ。
何か、
してほしい事あるんじゃない?」
「ん、 、、、ぅん。」
「じゃーぁ、ちゃんと。
言葉にしてくれません?」
「、、、。 でも、
やだ って言わない?
こないだみたく、、 」
「さーぁ?
どーだろーね。」
「、 、 、 、、。」
ちづるの目が泳ぐ。
思わず言葉を飲み込んでしまう。
目の前にある、
タクミの綺麗な顔。
鋭い目。
ちづるはますます
言葉に詰まってしまった。
「言ってよ。
気になって寝れないじゃん。」
まぁ 言わなくても
分かるけど
「、、、そっち、いっていい?」
「、 、 、、、。」
「、、ちょっと だけ、 」
「、 、 、、、。」
「、 、 、、、。」
「 ん 。」
タクミは、
自分のかけ布団を
片手でバサリと持ち上げる。
ちづるは
少し戸惑いながら遠慮気味に
タクミの布団の中にモソモソと
移動した。
タクミが受け入れてくれた事が
嬉しかった。
タクミの胸の位置に顔を寄せると
思わず笑みがこぼれる。