プレゼント1-4
タクミは店員から、
小箱の入った小さな紙袋を
受けとると歩こうとする。
知可子は、先に歩き出したタクミの
後ろで、タクミをじっと見つめる。
「、 、 、、。」
「 ? どーしたんですか?」
タクミは振り向き、
歩き出そうとしない知可子を
不思議に思い、そう言った。
「、 ぁ 。
私、本屋寄りたいんだったー。
上に行くわ。 」
「! あぁ そーですか。」
「 うん、 、じゃあ、、。」
「はい。
ありがとうございました。」
タクミは微笑んで
知可子にそうお礼を言い、
会釈をしてから出入り口に向かい
歩き出した。
知可子は、
タクミが見えなくなるまで
見送る。
タクミの姿が見えなくなったのを
確認すると、
バッグからスマホを取り出す。
ちづるにラインで、こう送った。
【おつ!
今、タクミ君と駅で会った。
ちょっと話したんだけどちづる、
言ってないの!? 】
こう送って返事を待ったが
なかなか既読がつかない。
5分ほど画面を眺めていた。
電話をかけようかと迷ったが、
時間帯を考えると
家事でもしているのだろう、
と思い知可子は家路についた。
家に着いた知可子は
コートを脱ぐと
リビングにある大きなソファーに
ドサッと腰をおろす。
リモコンを持ちテレビをつけると
バラエティー番組がやっている。
しばらくそれを眺めていたが、
時計を観てハッとする。
ちづるにラインを送ってから
40分ほど経っている。
返事を期待してバッグから
スマホを取り出すと
予想通り返事はきていた。
【おつかれ〜(*^^*)
タクミ君に? 会ったの?】
知可子はすぐに返事を送る。
【そう!会ったの。
ちづる、言ってないの!?】
ちづるも今、
スマホを見ているようで
すぐに既読がつく。
ちづるから
女の子の頭の上に「?」マークの
ついたスタンプが
送られ、すぐにこう文字が入った。
【何を?】
【何を? じゃない!
自分の事ー! 佐久間さんとの!】
【うん。 まだ言ってない。】
【なんでよ!?】
【なんでって、、。
卒業も近いし。
落ち着いてからのがいいかな?
みたいな。 】
その文章の後に、今度は
さきほどの女の子が汗をかいて
笑っているスタンプが入る。
知可子は、
鬼が怒っているスタンプを送る。
すぐに文章が入る。
【すぐに! 言いなさい。
大事な事でしょ!?】
【えー? そうかな?
卒業のが、
大事なイベントじゃない?】
【そんな事ないって。
大事な事を
タクミ君に言わない方が
またトラブルになる!
断言する!! 】
【えーー? (笑)
大袈裟だよ。 】
【とにかく! すぐがいいって!】
【そーかなー?
じゃあ、
卒業式が終わってからにする。】
【卒業式の日!!】
【そんなすぐ?(^-^; 】
【また喧嘩になっちゃうって。
もう嫌でしょ? 】
知可子はそう送ると
おばちゃんが腕を組んで
怒って人を威嚇しているスタンプを
入れる。
ちづるは
猫がほっこりとお茶を飲んでいる
スタンプを送った後
文章を入れる。
【はいはい。
分かったよ〜】
猫のバイバイしている
スタンプが入り、
2人のラインでの会話は終わった。