プレゼント1-2
2人は隣の店へと移動して、
ガラスケースの中のブレスレットを
眺める。
知可子は、ちづるの持っている
洋服の色の事を話し、
それに似合う色などをタクミに
提案する。
タクミは知可子の話を聞きながら
ちづるの姿を想像して
どの色がちづるに似合うかを
考えている。
15分ほど眺めながら考えるが
ちづるに1番似合う色は
考えれば考えるほど
分からなくなってきた。
ため息混じりに呟く。
「 ぁーー、、 難し。」
「まーぁ、、確かに。
色は迷うトコだよね。」
「ピンクゴールドも
好きそうな気がするけど。
こっちの、、。
シルバーに水色のやつも、、
似合うような気がするし、、。」
「 ぁーー これね。
確かに、ちづるも好きそう。」
「 っ、 んーーー、、、」
「、 、、 、 ふっ 」
知可子は、
隣で悩んでるタクミを見て
微笑みながら言う。
「でも、何で、プレゼント?
誕生日は、、、まだだよね。」
「 ぇ? あ 。
ちづちゃんて、
誕生日何月ですか?」
「ん? 6月。」
「 ぇっ? 」
「 ?」
「 ぁ、、いや、俺も、、
誕生日は6月だから。」
「! そーなの?」
「 びっくりした。」
「そっかーー。
凄いね、その偶然。
、、、で? 」
「 ?」
「なんのプレゼントなの?」
「 ぁーーー、、まぁ、、
日頃の、 感謝とゆーか。」
「 ぇえ? 」
「いや、、
卒業式が3日後なんすけど、俺。」
「うん。知ってる。」
「そんで、、ちづちゃん
お祝い、何がいい? とか。
料理も、作るって言ってるから、、」
「 うん。」
「俺も、、。
なんか、何かしてあげたいかも、、
みたいな? 」
タクミは、
人にそう話している自分が
なんだか恥ずかしくなり、
冗談のようにそう言った。
知可子はタクミの
照れ臭さを感じ取り
少しからかうように言う。
「 ゎーーー。
愛されてるーーー。」
「 ぁー、、はは、、
健には、何か聞いたんですか?」
「聞いたよー。
もぉ、本当、、、
びっくりだよ。」
「ちづちゃん本人にも?」
「ちづるとはまだ、、
ラインでしか話してない。」
「そーなんですか。」
「まぁ、今度会うときに
徹底的に聞くからって
脅しておいた。」
「、、。 こ わーーー、、」
「 ふふふっ
そこは、そりゃあ、、ね。
つめるわよ 」
2人は笑った。
タクミは笑っている知可子を見る。
知可子に自分の事を
ちづるの彼氏だと
わずかでも認めてもらえたような
気持ちになり、少し安心した。
ガラスケースの中の
ピンクゴールドのブレスレットを
眺めて独り言のように
ぽつりと呟く。
「 離婚すっかな、、。」
「 、 え ? 」
「 あー、いや。
ちづちゃん。
この状況が続くなら、、。
離婚するかなー って。」
「 ! 、 、、、 」
え ?
もしかして
知らない の ?
知可子は驚いた顔をして
タクミを見る。
タクミは
そんな知可子に気がつかずに言う。
「 やっぱ、これにしよーっと。」
「 、え?」
「このピンクゴールドの。
こっちのなら、
ダイヤんトコに
ブルーも入ってるし。」
「 、、そ っ か。
、 、って!
高くない!? 3万5千!!?」
知可子の声に
女性の店員が横目で2人を見る。
タクミはそれに気がつかず、
知可子に言う。
「そーっすか? 高い方?
イマイチ相場が、、
よく分かんないんすけど。」
「 ぇーー?
だって、こっちの、、
2万円台のも
かわいいのあるじゃん!」
「まーぁ、確かに。
んーーー、、、 」
タクミは再び、
並んでいるブレスレットを眺めて言う。
「でも、やっぱこっちにするー。」
「 ! マッ ジ っで!?」
「だってーー。
これが1番って
思っちゃったんですよねぇ〜。
ん。 決定。
ぁ すみません、、、」
タクミは店員に声をかけて、
選んだブレスレットを
プレゼント用に包装してもらっている。