1-12
幸太は力無くスマホの画面を見ると、先日美樹とデートした時に撮ったイルミネーションがキラキラと輝いていた。
それを見ると涙が込み上げてくる。
自分は何という罪を犯してしまったのだろうか、と。
できるものなら、望美と関係を持ってしまったあの日に戻れたら。
そうすればキッパリと彼女の相談を断っていたのに。
「美樹……美樹……」
静かに美樹の名前を呼びながら、幸太は着信履歴の画面を表示させた。
そこには、美樹の名前ばかりが並んでいた。
その内の一件をタッチして、美樹に電話を掛けようとした幸太だったが、コール音が鳴る直前で発信を取りやめる。
長い付き合いだから、わかるのだ。
美樹が真面目で一途な所。実際幸太も美樹のそんな所に惚れ込んでいた。
そんな一途な彼女が、浮気という行為を許さず、どんなに反省をしても戻らないというのは、皮肉にも一番側にいた幸太だからよくわかるのだ。
「……俺、何やってたんだろ」
ただただ後悔しか残らない幸太は、一人きりの部屋で大きくため息を吐いた、その時だった。
「……幸太」
ユニットバスの扉が突然開いて、幸太は思わず小さな悲鳴を上げた。
「お、お前……、何でここに!?」
そこには、申し訳なさそうな顔をした望美が立っていたのである。