第13話『開糞!なんでも鑑定団』-4
ピンセットで少女の『落とし物』を拾い、お皿に綺麗に並べる2番目の鑑定士。 少女はお皿を受け取り、ウェイトレスのようにお辞儀する。
『あ……あたしの……こ、コロコロウンチを鑑定していただき、ありがとうございました。 頂いたアドバイスを……うう……しっかり守ります。 あ、明日から毎日青汁のみます……』
『だぁめ。 明日からじゃなくて、今日からでしょ? 20ユーロなんてみっともない。 恥をお知りなさい、恥をッ』
『は、はいっ。 い、家に帰ったらさっそく青汁のみますっ! ありがとうございましたっ!』
ピョコン。 コメツキバッタ宜しく慌てて頭をさげ、2人目の依頼人は会場を後にした。
ここで画面が暗転する。 再点灯した画面には、ステージに大きな壁がセッティングされている。 壁からは30個もの『お尻』がつきだしていて、床から1メートルほどの高さに一列に並べて飾ってあった。 顔や腕、胸や足は壁の向こうにあり、ステージに映るのは『お尻』だけ。 それぞれのお尻の下に持ち主の顔写真が貼っていて、『21歳、サイズ88』や『18歳、サイズ86』、『32歳、サイズ91』といった簡潔なプロフィールが載せてある。 それぞれの顔写真の下には、ガラス製ボウルが1つのお尻につき1つずつ並べてあった。 1度に複数の女性の『落とし物』をチェックする番組コーナー、『出糞!なんでも鑑定団!』である。 出張した鑑定士が、この地方の『落とし物』の傾向を語る。 『水質が硬水』であり、『野菜の生育が少なかった』ため『腸が短い傾向』があり、結果として『落とし物』は臭くて柔らかく、便の見本から遠いらしい。 そんな解説を経てから、司会者が『お宝出品!』と掛け声をだすと、30個のお尻が一斉に締まった。 続いて各々の中央の窄まりが一気に弛緩、ブリブリッ、ブリリッ、ブリュブリュブリュッ……下品な破裂音のオンパレード。 ボトボトッ、ボトリ、ムリムリッ、ブバッ、ブシャッ、ブリブリブリ……音だけで頭がクラクラする。 色、量、形……画面を通じて匂いまで届いてきそうな勢いだ。 排泄後もお尻を壁から抜くことは許されず、肛門を紙で拭うこともないため、便汁と滓がついた肛門が並んでおり、ボールに溜まった便と同じくらい不潔な絵面を醸し出す。 お尻の下に並んだ写真にも便が飛び散り、どの写真も茶色いシミで見る影もなくなった。 そんな中、鑑定士が30個のボールを順番に観察する。 『うわぁ、クサい』『ひどいなこりゃ』『全然ダメですねぇ』等々、出てくる言葉は否定ばかり。 それぞれの尻たぶにマジックで『落とし物』の値段を書いてゆく。 『1ユーロ』『2ユーロ』『1ユーロ』……1桁の額が並ぶ中、最高価格でも『25ユーロ』だった。 ビタン、ペシン、壁からお尻だけだした女性陣のお尻を平手打ちしながら、それぞれに『もっとウマゴヤシを食べなさい』『燕麦を食べたあとは水を飲まないように』などアドバイスをする。 平手打ちされたお尻たちは、アドバイスに対して頷くかのように、突きだしたお尻を不恰好に上下に振るのだった。
ここで画面がスタジオに戻る。 番組コーナー、『幻のお宝品評会』だ。 ハミ、スーツ、プラグ、蹄……ステージに正規の軍馬と騎兵が現れる。 軍馬は騎兵を乗せたまま、ひょこひょことガラスのテーブルに昇った。 騎兵がピシリ、お尻を鞭打つと、ムリッ……手を使わずにアナルプラグを軍馬がひりだす。 そのまま僅かに足を開くと、腰を屈めることもせず、ブリブリブリッ、いきなり大量の脱糞だ。 軍馬の作法で、いつ、どこで、どのような状況だろうと絶頂と脱糞は拒まない。 立ったままの脱糞だったが、それまでの『落とし物』とはまるで違う。 握りこぶし大の塊で、綺麗な楕円を為しており、1つ1つの塊が全く同じ大きさだ。 鑑定士や司会がナディアを羽交い絞めにし、顔を軍馬の『落とし物』に近づける。 匂いを嗅がされたナディアの感想は『すごく……クサいです……でも、暖かいクサさです』。 それを聞いて鑑定士が満足そうに頷く。 続いてナディアは舌で『落とし物』を舐めさせられた。 『に、苦くないです……クサい味ですけど、ちょっとだけ……あ、甘いです』 ベソをかきながらナディアが感想を口にする。 鑑定士はナディアを褒めた。 なんでも、正しく消化したウマゴヤシの茎繊維は、サッカリン様物質を含むため発酵して甘味をもたらすらしい。 つまり、ナディアは軍馬の『落とし物』を、理性を失わずに正しく味わえたわけで……年の割に平静を保つ態度は称賛に値する。 司会者が『ナディアさんも、こういうウンチができるように、毎日生のウマゴヤシ、頑張って食べて下さいね。 それではみなさん、また来週!』といって、番組に『END』のテロップが流れた。