ン-1
「とりあえず、当面のことを話し合おう」
思った以上にゆったりとしている主任を見て
本人以上に本当に仕事を休んでも平気なのか心配になる。
「服は、見覚えはないかもしれないけど自分のだから
着るのはイヤじゃない・・・よな?」
「はい」
「ベッドは池田が使って」
「・・・・」
ダブルベッドだったから。
私があそこで寝るとなると
「主任・・・は?」
「俺はこのソファーで寝る」
背の高い主任がここに寝たら窮屈だろうな。
でも、一緒には寝られない。
上司と同じベッドなんて無理だよ。
「それとも・・・いっそ落ち着くまで実家に帰るか?」
「え・・・?」
親に心配かけたくないとかじゃなくて
そんな事よりも何よりも!
「主任、私がいなくなったらご飯ちゃんと食べないじゃないですか!」
「・・・え?」
「だから、私一人で実家にも帰らないじゃないですか!」
「しおり?」
あれ?そうなの?
思わず叫んだ自分の言葉にビックリして。
主任の食事事情なんか知るはずもないのに。
「あ。すみません」
「いや。何か思い出した?」
「いいえ。思わず言葉が出ただけです」
「そ・・・か」