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夢姫伝説
【SF 官能小説】

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第5話-2

互いが見続ける中、口を開いたのはリンであった。

「その傲慢な口ぶり聞けない様にしてやる」

リンは掌で空気弾を作り出す。


「リンが暴走しそうです!」

モニターを監視しているオペレーターが咄嗟にミヤギに報告する。

「辞めろリン!公共施設内だ。騒ぎを起こしてはいけない」


ミヤギの言葉を通信で聞き取ったリンは、落ち着きを取り戻し空気弾を消す。

「分かったわ…」

リンは口惜しい表情で少し間を開けてからジュリに向かって言う。

「今日は、これで失礼するわ、でも…私を汚した事は絶対に許さないからね」

それを聞いたジュリはクスッと笑う

「そうね…お子様は早く帰りなさい。大好きな御主人様に可愛いがって貰って、オネンネしなさいよ」

相変わらずジュリの傲慢とも思える発言に対して、ついにリンの堪忍袋の尾が切れた。
振り返りと同時に空気弾をジュリに目掛けて放つ

ズーン!

大きな音共に周辺が僅かに揺れる。
相手を倒した…と、僅かに笑みを浮かべたリンだったが…表情は一変した。
目の前にはジュリが立っていた。リンが空気弾を放つと同時にジュリはエアバリアと言う、特殊な防御を作り出して身を護ったのであった。

「クッ…」

大きな物音に気付き周辺にいた人達が集まって来た。それを傍らで見るジュリはリンに向かって言う

「ここでは人目につくわ、私と勝負したければ…外の人気の無い場所へ行きましょう」
「良いわよ」

リンが納得すると、ジュリがリンを連れて裏口の出口まで先導して行く。
出口へと行くと施設周辺を飛び回るムシの存在に気付く。

(ムシが飛んでいる…)

「あっちで勝負よ」

リンが近くにある森林公園を指して言う。
2人は人気の無い森林公園へと着き、互いに間合いを図る。活発さを強調させる様なショートパンツ姿のリンに比べて、ジュリは淑女さと控え目な人柄を思わせるスカート姿だった。
互いの位置関係を見図ると同時にリンが勢い良くジュリの場所まで突進して拳を突き出す。
しかし、ジュリは身を翻して両手を組み、軽く肘を突き出す。それは勢い良く走って来たリンの腹部に直撃する。リンは自らの行動と相手の突き出した技で、いきなり大きなダメージを受ける。

「ウウ…」

よろけたリンにジュリはすかさず、両膝を折り曲げて、リンの真下から勢い良くジャンプして掌をリンの顎に当てる。
その衝撃で、たちくらみ平行感覚を失われて。目眩がしてヨロヨロとよろける。


モニターで2体の戦闘を見ていたミヤギは通信でリンに言う。

「木の影に隠れろ!」

フラつきながらリンは木の影に隠れる。
感覚が戻り、木の側から顏を覗かせると、勢い良く硬い物が飛んで来る。
バシッ、バシッ!と、音を立てて、何かが木にめり込む。
良く見ると、それは石だった。

「投石⁉」

ミヤギは驚いて、ジュリの近くにムシを1匹向わせる。
少し離れた場所から、ジュリが布に石を入れて、回転させながら石を飛ばしている姿を見つける。

「武術も驚いたが、まさか古代の人々が使っていた戦術まで利用するとは…、図書館の本を全て読破したのは伊達では無いな」


「ねえ、アイツに勝つ方法って無いの?このままじゃ私…やられっぱなしよ。そんなのイヤ」

リンはミヤギに通信で言う。

「木の影を利用して、接近しろ!」

ミヤギのアドバイスを受けてリンは、木の影を利用しながら移動する。
大きな池の向こう側にジュリの姿を見つけて、目の前にある石橋を渡った。
それに気づいたジュリがフッと笑みを浮かべる。その瞬間、石の橋が崩れ落ちる。危うくリンは石と一緒に池の中に落ちるところだった。運良くリンは、落ちる石の橋を交わして、元の場所に戻った。

「ダメ…近付けないわ!」

接近すれば柔術等で応戦、離れれば飛び道具を使い、更に策術をも用いてくる。どう足掻いてもジュリに叶う術などリンには無かった。

「唯一勝てる方法がある」
「本当?教えて」
「それよりも近くにいるムシを破壊しろ」


それを聞いたリンが自分の近くに飛んでいるムシを見つけて破壊した。

「何故、ムシを破壊するのですか?」

気になったオペレーターの1人がミヤギに向かって聞く。

「ジュリが正確に位置も的確に石を投げ付けられるのは何故だか気にならなかったか?」
「そう言われれば…」
「アイツは、森林公園に向かう間にムシを1匹捕まえて、自分用にOSを変えたんだ。モニターを良く見て見ろ。1つだけ画面が消えているのがあるのだろう?」

その時、初めてオペレーターは、画像が1つ消えているムシがある事に気付いた。

「僅かな間にムシを自分用に変えたのですか?」

オペレーターが驚いて言う。

「驚く事では無い、この位は当然だよアイツには…」


「リン、良く聞け。今から言う事をやってみろ…」
「うん…」

木陰に隠れてリンはミヤギの話を聞いた。

「出来るな?」
「イヤよ、私…そんな…アイツにするなんて」
「これが出来ないなら戻れ、我々にはもう他に勝算は無い。ジュリは全ての面に置いて、お前をも遥かに凌ぐ存在と言う事になる。唯一の勝機も、お前は拒むとなると、もはや我々は立ち去るしかないのだから…」

リンは悩んだ…そして、口惜しそうに言う。

「分かったわ…やって見る」

少し気持ちが優れ無い気分でリンは立ち上がる。
ムシを破壊された事によって、相手の位置が把握出来無くなったジュリは、森林公園の森の中を歩き続けていた。
リンの気配を頼りに歩いている中、木の枝に登って身を隠していたリンが、ジュリの背後を確認すると飛び降りて背後から、いきなりジュリを押し倒した。


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