俺の好きな人-2
今日は、しほといるだけで休み時間のことを思い出してしまい、いつもみたいに一緒に帰ることを喜べなかったが俺がしてやれることといったらこれくらいしかない。
「んー・・・」
いつもならすぐに話し始めるのだが、今日はなぜか話しにくそうにしている。
「話したくないなら無理すんなよ?俺以外の奴に相談にのってもらえばいいし」
出来れば俺のほうがいいけどね。
「んー・・・」
どうしたんだろう?と不思議に思いながらもそれ以上は何も言わずに無言で歩き続ける。そして少しした後、しほが口を開いた。
「・・・あのさ、今、付き合ってる人がいるんだけど」
ガツン、と何か重いもので頭を殴られた様な衝撃がした。
「その人のこと好きなんだけど」
ガツン、ガツン
「その人と付き合う前から、別に好きな人がいたの」
ガツン、ガツン、ガツン
初めて相談に乗ったこと後悔してきたよ・・・
「それで、やっぱりその人のこと諦められないから別れて欲しいって言ったんだけど別れてくれなくて。・・・って、陵、聞いてる?」
「・・・っ。あぁ、聞いてるよ。」
やばい頭の中が真っ白になってた。
「どうしたらいいと思う?」
「そうだな・・・」
とりあえず、無理やり頭をフル回転させて俺に考え付く限りのアドバイスをした。
「でも、好きな奴がいるのに別の奴と付き合ってるのかよ。」
アドバイスをした後、気になっていることを聞いてみた。
「その好きな人がね私のこと嫌いらしいって友達から聞いて。それに付き合ってる人もいるって。」
「そうなんだ。」
「すごいショックで・・・。高校に入る前から友達で仲もいいと思ってたからもしかしたら相手も私の子と好きなのかもしれない、って勝手に思ってて。」
「大丈夫だって。そいつに告白しろよ、きっと上手くいく。」
話している間に元気が無くなったしほを励ますように声をかける。正直、他の奴に告白するなんてショックだけど、しほの幸せの方が何よりも大切だ。
「もしフラれたら慰めてやるから。」
「・・・それはむりかな。」
「えっ?」
しほが小さな声で何か言ったが上手く聞き取れなかった。何て言ったのか聞き返すと「なんでもない」と首を横にふりいきなり「よしっ!」と大きな声を出した。
「うわっ!?なんだよいきなり?」
「陵に相談してよかった。告白してみることにする。」
笑顔でしほが答える。ショックではあったけどしほが元気になったからよしとしよう。俺は大きく頷いて、
「頑張れよ!」
道が二手に分かれる。俺としほは家が反対方向にあるので此処で別れることになる。「じゃあな」と言って家に帰ろうとするとしほに呼び止められた。
「陵!」
「なんだ・・・っ!」
振り向こうとする途中で頬に暖かい感触が。
「なっ!・・・は?・・・えぇぇっ?」
キスされた頬に手を当て動揺しているとしほは一言残して家へと帰っていった。
「明日告白するから!覚悟しとけよ!」
俺はその場から動くことが出来ず、ただしほの後ろ姿を見送っていた。
「覚悟って・・・なんだよ?」