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俺の好きな人
【青春 恋愛小説】

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俺の好きな人-1

3時間目の授業が始まる前の休み時間。ふと耳にした言葉で3時間目は、まともに授業を受けれなかった。
「きちんと返事をもらえるように頑張ってみる」
隣の席に座る幼馴染の真宮しほが友達との会話の中で発した言葉。所々しか聞こえなかったが、会話の内容はしほの好きな人についてらしかった・・・。

「どうした、陵?元気ねぇじゃん。」
「別に、んなことねぇよ。」
その日の放課後。掃除から戻り机の上に頭を置く俺 ― 速水陵(ハヤミ リョウ) ― に高校に入ってからの親友、大友幸平(オオトモ コウヘイ)が声をかけてきた。
中学のときから情報屋らしく、正直友達でよかったと思っている。こいつを敵に回したら3日も掛からない内に学校には来られなくなるだろう。
「また、フラれたのか?」
普段からいろいろと相談をしているせいかこちらの返事を無視して言葉を続ける幸平。
「俺が元気無いと無条件でフラれたと決め込むのはおかしくねぇか?」
ジト目で幸平を睨む。しかし、そんなことは気にならないのか、
「昼飯もろくに食べない。昼休みの間も授業中もため息ばかり。フラれた・・・いや、フラれたと思い込んでるだろ。」
お前にはかなわない、とため息をつく。そして、素直に休み時間にあったことを簡単に話した。
「・・・馬鹿かお前は。」
話し終わったときに幸平が最初に口にした言葉。そりゃ自分でも馬鹿だと思ってるよ。
「どうせ馬鹿だよ。」
「なんでお前はそんなにネガティブなのかねー。そりゃあ、確かに真宮さんは彼氏がいるらしいけどさ。」
あっ、新事実・・・
「だけど、最近仲悪いみたいだから。」
ヘーソウナンデスカ
「諦めること無いだろ。それに、お前ら仲いいじゃねぇかよ。」
「まぁ、ちったぁな。」
俺としほは、学校こそ別だったが小学校のときからの友達でよく遊んだりした。高校で一緒になってからは、たまに一緒に帰ったりもした。
高校に入ってすぐの時には「あいつらは付き合ってる」なんて噂が流れたくらいだ。そのときは、「本当に付き合ってないのか」と幸平に散々尋問された。
「まぁこの件に関しては俺もアドバイスのしようがねぇよ。とにかく頑張れよ」
言うとバックを肩に背負って「お先ー」と教室から出て行ってしまった。
「なにを頑張りゃいいんだよ・・・」
小さく毒づきながら俺も帰ろうとバックに教科書などを入れていると、丁度教室へと帰ってきたしほが声をかけてきた。
「陵、帰るよー。」
「帰れよ。」
顔を上げずに返答する。しほを見ると俺が気まずいって言うのもあったけど・・・
「陵も帰るんでしょ?」
「俺は帰るぞ。」
「でしょ。だから帰るよ。」
荷物をつめ終わり顔を上げると、いつの間に取りに行ったのかしほはバックを持っていた。
「あのなぁ、素直に一緒に帰ってくれとは言えんのかね君は。人間素直が一番だ。」
「私と一緒に帰っていただけないでしょうか?」
「うむ、よろしい。」
頭を下げるしほに満足げに頷いて、「そんじゃ帰りますか」と2人で教室を後にした。

「それで?今日は何だ?」
学校を出て少し歩き辺りに他の生徒がいなくなると、俺は少し歩く速度を落としながらしほに尋ねた。
しほが一緒に帰ろうと誘ってくるときは大抵相談事があるときだった。


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