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MOTHER 『僕』
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MOTHER『再生』-2

初夏の近い強い日差しを受けて彼の後ろ姿が先生の時の様に凛として見えた。

あの時と同じような葉の擦れ合う音。

『今さ 俺まだ学生だし 何の力もないけどさ』

自転車の速度がゆっくりと落ち 彼は曲がり角の少し手前で自転車を止めた。

『どしたの急に?』

くすくすと笑う私の方へ彼は少しだけ顔を向ける。

『俺 絶対おまえを幸せにするから』

驚いて一瞬言葉につまる。
再びゆっくりと自転車は動きだし 短い髪の隙間から見える彼の耳は真っ赤だった。

『ありがとう』

ふふっと笑って彼の背中に額をつける。


よく晴れた空の遠くで 小さな男の子が笑った気がした。


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