卑劣で最低な男-3
「動くな!」
「ヒッ!」
潤の怒声に母と娘は同じように首を竦めた。
「この胸はどうしたんだ?」
潤は真奈美の胸を下から数回持ち上げて真希を睨んだ。ゆさゆさと揺れる真奈美の胸は真希のお仕置きを受けて赤く染まっていた。
この家に来た時に、泣き腫らした真奈美が真希に正座をさせられていた。それだけで答えは出ていたが、潤の怒気の強さに、真希は自分がやったと答えられるはずはなかった。それに今は、潤が自分の目の前で真奈美の胸を弄んだことで、驚きの余りに身動きもできなかったのだ。
「あ、あたしが自分でやりました」
真奈美はやはり母親だった。固まる娘の窮地に黙っていられなかった。
「ほほう。お前、また娘をかばう気だな?そんなに真希が可愛いか?」
「えっ?また?」
また、母と娘は同じ反応をした。
「惚けるな!オレと矢野さんで真希を拐って犯そうとした時のことだよ」
わけがわからずに真奈美の目が点になった。
「ど、どういうこと…」
自分の名前が出てきた真希が、真奈美に向かって聞いたが、答えがわからない真奈美は、首を左右に振るしかなかった。
「しらばっくれてないで言ったらどうだ。『あたしには、何をしてもいいから、娘には絶対に手を出さないで』って頼んだことをな」
真奈美には何がなんだかわからなかった。
「ははは、娘のために毎日犯され続けてたのに、その娘にお仕置きされるとは、お前はどれだけ不幸なやつなんだ」
潤の言葉に、真希は衝撃を受けていた。
「うそ…」
「うそなもんか。この女、写真を撮る時も『そんなに嫌そうにしてたら真希を犯すぞ』って言ったら、直ぐに無理して笑うんだよ。健気だろ」
「ホントなの?」
真希は真奈美に向かって聞いたが、やはり、真奈美は首を左右に振るしかなかった。
「ははは、言えるわけないか。言っとくけどな、オレ達は先にお前に目を付けてたんだからな」
「どういう意味?」
「お前はクラブで帰りが毎日遅いし、一人で帰る時も多い。簡単に拉致できそうだったから、狙いを付けてたんだよ。誤算はお前より先にこの女を犯したことだ。お前がノホホンとクラブをやってる時に、母親はお前のために体を張ってたってわけだ。まあ、お前にとっては幸運だったかな」
思いがけない潤の言葉に、真希は涙が溢れて止まらなかった。手段は間違えていたが、真奈美の卑猥な行為は、全部自分のことを思って我慢しながらやったことだったのだ。
「ごめんなさい」
真希は胸を晒して呆ける真奈美に抱きついて謝った。微笑ましく美しい光景だった。しかし、リアルさを失わないために、潤はこの光景を壊さないといけなかった。