卑劣で最低な男-2
「ね、そうでしょ。潤くんが犯しただなんて、この女の創作でしょ」
何も言わない潤に、真希は畳み掛けるように聞いた。
二人のやり取りを聞いていた真奈美は生きた心地がしなかった。実際は真奈美が真希に話した内容とは異なる。潤は智子に仕向けられただけだし、無理矢理犯したりはしなかった。その後も真奈美に気を使ってくれているのも感じていた。
それを真奈美は自分を正当化するために、潤に強姦魔の汚名を被せ、クラスメートの女子である真希にそのレッテルを知らしめたのだ。潤の年頃ならば、異性からの評判は一番の関心事なのに…。
「オレが真希のお母さんを無理矢理犯しただって?」
案の定、潤の反応には怒気が含まれていた。
(あぁ、やっぱり怒ってる…)
自分に対して気配りを示していた潤なら、もしかして真奈美の窮地を察してくれることを仄かに期待していた。しかし、今もそうだが、安易に問題を先送りし続けた自分のことを棚に置いて、中学生にそれを望むのは身勝手過ぎた。
「そうよ、この女がそう言ったのよ」
真希が勝ち誇ったように、真奈美に指を突き付けた。真奈美は意識が遠退きそうになりながら、潤が自分に罵倒を浴びせるのを覚悟した。
「真奈美さん、とんでもないこと言ってくれたね」
眉根を寄せた潤の視線と、睨みつける真希の視線に堪えかねて、真奈美はぎゅっと目を閉じた。
「娘なら、ばらしていいとでも思ってたのか?」
続いて出てきた今の潤の言葉に、母と娘は同じ反応をした。
「えっ?」
驚きの声をあげた母は見開いた目で潤を見上げ、同じく驚きの声をあげた娘は驚愕の目を潤に向けた。
「最近、優しくしてたから付け上がったみたいだな。これは久し振りにお仕置きをしないとな」
「えっ?なっ…」
潤の言っている意味がわからず、真奈美は戸惑いを隠せなかった。
「お仕置きだって言ってんだろうが!」
真奈美の言葉を遮るように、潤は怒鳴ると、そのまま真奈美に襲い掛かった。
「キャッ!」
驚きで身動きのできない真奈美のトレーナー捲りあげて、露になった胸を揉み始めた。
「いやああぁ」
いつもの潤とは全く違う雰囲気に、真奈美は逃れようとして身を捩った。その瞬間、潤は揉んでいた胸に異変があることに気付いた。