愛してみたい-1
時代は安土桃山時代。国は日本の三河。三河の小さい国。…国の名前は「塊台国」その小さな国にも修める王がいた。名は、美斗..。珍しいことに、王は女だった。15歳で、色白く、美しく、遠くから会いにきた男も100人はこえていた。誰からも好かれる性格で、王にしてはそれはそれは優しかった。こんな美斗だったが、特別に愛する者はいなかった。しかし美斗は思っていた。
『愛する幸せが欲しい...』
『うっ、うわぁー!』殺し合い。ここは戦場だ。『殺せ殺せ〜!ハハハ。死ね!』相手の国、陰台国の兵士が、塊台国の兵士を殺している。逆に陰台国の兵士を塊台国の兵士が殺していた。ものすごい血だ。周りにはたくさんの死体。内蔵が出ていたり、腕がとれていたり。グロテスクだ。その試合の中には、塊台国の王、美斗がいた。大将として。どちらかの大将が相手の大将の首をとれば、戦いが終わるのだった。美斗は相手の大将と戦っていた。相手は体が大きく、筋肉が盛り上がっていた。相手は美斗が女ということで甘く見ていた。『おい。お嬢様ー。お前戦えるのかい?そんな小柄な体をして。結構可愛いじゃないか。負けを認めたら、俺様のペットにしてやるぜぇ』美斗は背中がぞっとした。相手は顔に傷がついていてお世辞にもかっこいいとはいわなかった。こんな人のペットになんてぇ..。『だ..誰が貴方のペットになるもんですか!負けは認めないわよ!仲間を裏切りたくないもの。それに..』美斗が手に持っていた剣を敵の大将の顔に思いっきり差した!!『ぎゃぁっ!』このことは予想外だったらしく、見事に顔に剣が刺さった。顔から血がふきだし、美斗の白い肌を赤くする。『ごめんなさい。痛いわよね。でも、私はこうしなければいけないの。王だから…。…貴方に神のご褒美あれ。』美斗は泣きたかった。今まで、たくさんの人間を殺してきたが、慣れなかった。自分のせいで他人の命が消える....。そう考えると自然に目と喉が痛くなるのだった。『ぁ..ぁ..』敵の大将は力つきた。『ごめんなさい。今度生まれ変わるときは、このような戦いのない時代に…』
『美斗様!ご無事でしたか?!』手下・若田蹴が駆けつけてきた。『若田蹴…。私は、私は、また人間を殺してしまった。』若田蹴は、美斗があの強そうな大将に勝ったことを驚いた。美斗は負けるだろうと思っていたのだ。『勝ったのですか。いいではないですか。いいことをしたのですぞ。美斗様は。』なんとか美斗を立ち直らせようと思ったのだが、『人間を殺すのは良いことだと、本気で思うのかしら?若田蹴。そうなのらば、貴方の心はどのくらいすすだらけなのかしら。』と言い返されてしまった。『美斗様…』『私は、私は。王になりたくなかった。こんな残酷なことなんかしたくなかった』若田蹴は何も言えなかった。ただ、美斗のそばにいてやった。『…ねぇ若田蹴は、人を殺したことある?』『いいえ…。私は戦いの方には入りませんから』『いいな。あなたはまともな人間ね。だから、愛することも愛されることもできるわ。その上、私は人を殺している。人間ではない。鬼よね。だから愛することも神が許してくださらないわ。』『美斗様。この国の皆は美斗様が人を殺したいと思って犯してるなんて、誰一人思ってませんよ。少なくとも、私は。だから、いいんですよ。人を愛しても。』『…そうね…』