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SM学園・行事幕間
【学園物 官能小説】

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第23話 研修、女体盛り-1

〜 海合宿 ・ 2日目 ・ 午後の研修 〜



 【29番】たちが合流してから2日目の午後。 調理具一式が持ち込まれた第一研修室では、これから始まる実習について、指導員から説明している最中だ。

「貴方たちは普段から道具一式に頼って調理しています。 ですが、実際の現場では、道具に頼れない場合も多々ある。 無人島のような特殊な例をあげるまでもなく、風習が違う場所であったり、道具に故障があったり、万一にも有り得ませんが、不注意で紛失したような場合です」

 専門生たちは席につき、神妙な顔で聞いている。 一方で【29番】たちはというと、相も変わらず五感を拘束されたまま、教壇の傍らに控えさせられている。

「さらには、調理に携わるのが自分だと、暗黙のうちに考えています。 もちろん貴方たちが料理を作ることに何の問題もありませんが、例えば手を怪我したりといった理由で、然るべき技量がふるえない場合への備えがない。 貴方たちが目指す『一流の調理師』とは、いつ、何とき、どのような状況下であっても殿方が満足する食事を提供できなくてはなりません。 道具がなかったり、不慮の事故があったりなど、言い訳にはなりません」

 シーン。 教室からはしわぶき1つ聞こえない。

「以上を踏まえ、これから『特殊調理』の研修に入ります。 最低の条件と多岐にわたる制限の下で調理に取り組み、私たち指導員を満足させる料理を夕食までに用意すること。 品数は5品目と少なく設定しますから、全員で力を合わせて取り組みましょう。 『条件』の一覧は黒板に記します。 一切の違反は認めませんよ。 誤解、誤読、拡大解釈も即合宿の棄権とみなします。 疑問があったとしても、質問は認めません。 しっかり考えて分からないようなら、それはそれで、調理師になる見込みがないだけの話です」

 コホン、と1つ堰をしてから、

「……社会に出ることを諦めさせるには、早すぎるということはありません。 実際、貴方たちの中で、全員が調理師になれるというわけでもありませんからね。 仮に合格できなかった場合は、このクラス全員が落第扱いになるわけですが……まあ、それはそれで、どうしようもないことですし、大した問題ではありません」

 指導員はサラリと告げた。 彼女が話している内容は、本当の意味での額面通りでは決してない。 さりとて嘘偽りというわけでもない。

 1クラス丸々落第するというのは、同時に指導員の能力不足を証明する。 そんなことを押しとおした場合、指導員の彼女自身が懲罰的指導対象になる。 学園における『補習』を数倍過酷にしたプログラムの受講が待っている。 そんな罰を自分に課すことなのだから、クラスを落第させるというのは、大した問題でないわけがない。 ただ、指導員にとって考慮するべきは、熟練度未達な専門生を育ててしまう点にもある。 甘い指導を繰り返して中途半端な社会人を養成してしまえば、後に『授業力不足』のレッテルが貼られ、社会人としても身分は霧消するだろう。 そう考えると、目先の大事を引き換えにしたとしても、甘くは出来ない理由がある。 要するに、内心はさておき、彼女の言葉は『言葉通り』に解釈するべき内容といえる。

「貴方たちの健闘を期待します。 もちろん備品を使って構いません。 身体能力や節度に関しては、備品の方が貴方たちよりも優秀ですから、上手く活用するんですよ。 では、条件が5項目ありますので、全て書き終えた時点より5時間を制限時間とします。 よろしくて?」

 生徒を睥睨し、全員の視線が自分に集まっていることを確認してから、指導員は生徒に背を向けてチョークをとった。

 カッ、カッ、カッ。 慣れた手つきで板書が進む。 5項目の条件とは以下の通り。


 1.食材は研修施設周辺から自生のものを調達すること。

 2.調理は第一研修室内で行う。 ただし第一研修室内での『手』の使用を禁止する。

 3.既成の調理器具は使用を禁止する。 ただし自作の調理器具の使用は認める。

 4.『備品』の拘束、用途に制限は設けないが、あくまでも『備品』として活用する。

 5.品目は5種類とする。 ただし味付けの類似は認めるが、食材の重複は禁止する。


 1、2、3番目の項目が板書された時、静かな動揺が研修室に広がった。 午後の課題は『自分で食材を集め、手を使わずに、自分が作った調理器具で料理を作ること』――ひとめで無茶苦茶な課題だとわかる。 けれども指導員は涼しい顔で、生徒達の甲走った視線などどこ吹く風だ。 板書の内容が冗談ではないことくらいはすぐ解る。 ジッとしていても始まらない。 専門生たちが三々五々集まり、随所で相談が始まって、こうして専門生全員と3人の備品を巻き込んだ研修実習がスタートした。 


 最初の10分間は、纏まらない話し合い。

「食材って……何もないよ? これってどうするの??」

「だからっ、こっちでどこかからとってこなきゃいけないんでしょ!」

「どこかって……ぐ、具体的にどこのことよ」

「そりゃあ、その、海とか……山とか……そういうことかな?」

 専門生にとって、条件を消化すること事態が至難といえる。 『学園』のように日々自分の処し方を思考し、相手の意図を忖度する経験が、絶対的に不足しているからだ。 専門学校では全裸にエプロン、或は前半分だけ着衣といった装いこそ強制されるものの、基本的には料理の技術を磨くために生活している。 そんな日常の延長で推し量れるような条件もあれば、そうでないものもあるだけの話だ。 




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