第2話『性的ビフォー・アフター』-3
一面真っ白な部屋で、回転盤に乗っている本日2人目の女性は、明らかに10代の少女だった。 全裸のままふてくされたように直立し、カメラを睨みつけている。 回転盤がその場で回り、女性の正面、側面、背面と、隅々までカメラが映すと、姿勢は細かく指定されているのだろう、薄っすらと陰毛が映えかけた恥丘や膨らみかけの乳房を隠すことなく、両手は脇に揃えていた。
ここでナレーションが入る。
『エミリア・ブリグジット、16歳。 穿孔子罕(せんこうしかん)、銀輪消毒により、両耳にピアス用の穴を空けました。 整形目的は『金属の環を身体に嵌めて、身体の一部にしてみたいから』。 ただの好奇心により、一度空けたら完全な修復が出来ない穴を躊躇なく耳に開けました。 整形費用は300ユーロ。 両親の財布より無断で借用した旨、告白しました』
両耳を交互にカメラがとらえる。 既にピアスは外されており、直径数ミリの穴が耳朶を貫通している様子がよくわかる。 穴の周りは僅かに腫れが残っており、少女がピアシングしたのは最近のことと思われる。
『ここで【匠】への依頼を見てみましょう。 本日2人目の【匠】は、繊維質移植の大家でもある、アワジ国立医療センターのドクター・ナカマツ。 金属環に拘るエミリアに、より『金属質で』『機能的な』ピアスリングを提供すること。 用意してもらう『リング』は、ただの飾りで意味がありません。 肉体の一部と呼ぶからには、それに相応しい機能・付加価値をもったものが然るべきです。 以上を300ユーロで実現するため、【匠】は『括約筋の強化』に併せて『開孔リング』を前後の穴に取りつける施術を選びました』
フッ、画面が切り替わる。 今度は一面ピンク色の鮮やかな部屋だ。 少女は回転盤に乗らされ、相変わらずのふて腐られた様子で直立していて、下半身から細いエナメルの糸を数本垂らし、先端に金色の環がぶら下がっていた。 しばらく立ったまま回転してから、おもむろに立ったまま股を拡げる。 両手で股肌を左右にひっぱり、広がった膣と肛門をカメラが真下から捉えた。
『……なんということでしょう。 『筋細胞核増繊維』の移植により、ピタリと閉じ合わさって広がることのない尿道口と肛門を実現。 襞縁に指尖(しせん)した4つのピアス穴にも関わらず、穴に弛む気配はありません。 これで大小便のお漏らしの心配はなくなりました。 なお直径1mm、口径1センチと小型なピアスは、通常引っ張ると肌が裂けるレベル。 にもかかわらず、このように強化された襞縁であれば、いくら細いピアスリングを引っ張っても決してちぎれることはありません。 永久に体の一部となるピアシングが実現しました』
少女の股座から伸びた糸は、尿道口と肛門の周りに穿たれたピアスリングから伸びていた。 糸をピンピンに引っ張っても、少女の穴は閉じたまま。 むんずとばかり力を込めて引っ張られるというのに、繊維移植で強化された穴の縁取りには歪みすら見つからない。
『青く光るピアスリングは、リン酸溶液下で通電し、酸化被膜でコーティングしたチタン製です。 これらのピアスリングは決してただの飾りではなく、筋肉強化により自力では緩められなくなった肛門、尿道を拡げるための道具です。 エミリアが排泄しようとしても、いくら息んだところで尿道も肛門も広がりません。 けれども心配は無用です。 ピアスリングから伸びたピアノ線を上下左右に引っ張ることで、身体の穴を解放すれば、問題なく排泄が可能になります。 ピアスリングに『排泄穴を拡げる』という機能性をもたせた、【匠】ならではの工夫です』
ここでピンク色の部屋から映像が切り替わり、『エミリアの日常のVTR』が映される。 エミリアは全面ガラス張りの洋式便座に跨って、これから用を足そうとしているところだ。 普通は便座に腰かけ、スカートやショーツを下ろして排泄する。 けれどエミリアの様子は違った。 陰唇のさやにある隙間、尿道口縁に4つ穿たれたピアスから4本のピアノ線が伸びている。 その4本のうち、1本を右足親指、もう1本を左足親指に結ぶ。 便座に座ってから、ピンと水平になるまで足を浮かせる。 そのまま左右に足を拡げ、大腿筋でもって尿道口に取り付けられたピアスリングを引っ張るのだ。 足に力を入れているせいだろうか、もしくは便座の上で恥部を拡げる恥ずかしさからだろうか、少女は頬を紅潮させている。 今度は残り2本を、それぞれ右手と左手に握り、真上に伸ばした。 足で尿道口の下縁を前に引っ張り、腕で上縁を後ろに引っ張り、ここまでやって、ようやく少女の尿道が僅かに開く。 そのわずかな隙間から、プシッ、プシャシャシャシャ……勢いよく迸る小水。 ピアスに併せて筋肉を強化され、キチキチに閉じられてしまった尿道口は、少女が両手両足で踏ん張らない限り、広がることすら叶わなくなっていた。