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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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無謀な決断-4

しーんと静まり返る彼女の部屋、その静寂を破るように、巴ちゃんが声を挙げる。

「何言ってるの!?彼の話聞いてた?そんなの可笑しいって!」

ずっと冷静だった筈の彼女が取り乱して。

「分かってる!無謀な判断だって事は。」
「…だったら。」
「保証はあるの?」
「え…。」
「風馬君の話だと今は出産を見送って成人となってまた産めば良いって事だけど、そう上手くいくの?」
「若葉…。」
「もし、もしもよ!?大人になって結婚して彼と今以上に一緒にいても、幾ら性的行為を何度繰り返しても妊娠しなかったら?」
「そんなの…。」
「可能性はあるでしょ!?だって一度降ろした事になるし…。」

子供が欲しくて何度も産婦人科に通い相談しにいった夫婦の話何かよくテレビで観る。

「……こんなチャンス、人生でもう二度とないって事だね?」
「っ!!」

重たい口を開く風馬君、私のとんでもない考えに賛同したと思い驚いて振り向く彼女。

「だ、だからって…。」
「それに欲しいもの!彼と私の子供!だって夢なんだもの!」
「………。」

ひたすら険しい顔で私を見つめる巴ちゃん。

「…ねぇ、アンタはどうなの?本当にそれで良いわけ?」

助け船を求めるように風馬君に問うが。

「僕はさっき言ったよ、「君の考えを尊重する」って…。」
「風馬君…。」
「二人とも真剣に考えて!そんな理想や甘い考えで世の中通る訳ないでしょ!さっきあんたら言ったよね!?「未成年の体にはキツイ、親や周りの事、学校だってある」って。」
「そんなの頑張って生むよ!」
「馬鹿!だから簡単に言うなって、アンタ何かどーせもやしみたいで体も小さいのに。」
「新しい命が生まれるのは幾つになっても誰だって大変なのは一緒でしょ。」
「学校は?いやまー通うのは出来るけど周りの大人は。」
「その周りの大人ってどんな人さ?」
「それはぁ!……。」

彼の問いに一瞬「そんなの驚いて怒るに決まってるでしょ!」と言おうとしたが、後々私の理解ある優しいお爺ちゃんやお母さん、それにかれのお母さんを思い浮かべ。

「驚くのはまず当然、いやそれどころか怒鳴られても可笑しくはない、でも!僕らの知ってる周りの大人はそれでも協力を拒んだり、増して愛の逃避行みたいなオチにはならない筈だよ。」
「……。」
「風馬君…。」

不安そうに彼を見つめ、そんな私を優しく抱きしめてくれて。

「大丈夫、言ったでしょう?何があっても君と赤ちゃんは僕が護るって…、よし!そうと決まればここでうじうじしてても辛いだけだ。」

それから私と彼はまず彼の家、というかおばさんの元へ向かう事に。


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