第6話 だしもの練習-3
自分達を顧みて焦りを覚える間もなく、続いてC−3組が演技を練習し始めました。
10人が水を抜いたプールに下りて一列に並びます。 片手は肩に、もう片手は腰に伸ばし、一列揃って腕を組みます。 と思うと、爪先を揃えたラインダンスが始まりました。 スッと片足を引いたと思うと、前に向けてハイキック。 踵落しの要領で、頭より高くまで足を振り上げます。 もちろん全員が全裸ですから、脚を振るたびに付け根の持ち物がぱっくり開け、肝心所は晒しっぱなし。 身体の前で時計の針みたいに脚を回したと思えば、キックさながら前に伸ばす。 これまた息が揃ったダンスです。
そうして1分ほど踊ったところで、みんなの表情が変わりました。 全員揃って大きな歩幅をとり、右脚を後ろに下げます。 次の瞬間、思いっきりハイキックしました。 爪先が今までで一番高いところに届いた瞬間です。
ぴゅっ、ぷぴゅっ、ぴゅっ!
10人同時にお股から黄色い奔流が迸りました。 ピタリ、同じ角度で斜め下に伸び、リノリウム床にしぶきます。 ただ、驚くのはここからでした。 蹴った脚をすかさず下ろす最中に、ピタッ、大量に放ったと思ったオシッコを全員揃って止めたんです。 放尿したのは、時間にすれば1秒にも満ちません。 まだ演技は終わりません。 再度脚を振りかぶり、先ほどに勝るとも劣らないハイキックを魅せながら、ぴゅっ、ぴゅっ、ぶしゅっ、掲げた足の付け根から水流を放ちます。 そうやって脚の上げ下げに合わせ、短く、けれど勢いある奔流を、10人は何度も何度も放ちました。
脚を下ろしてお股が隠れるまでの間。 この僅かな時間できっちりオシッコを区切る。 続いて次に脚をあげるタイミングで再度放尿を開始する。 脚を振り切った直後に止尿する。 放尿と止尿を短時間に繰り返す――難易度の高さは相当です。 殿方のように長い尿道をもたない牝にとって、一度堰をきった尿を止めるのは容易じゃありません。 しかも激しく踊っている中でコントロールするんだから尚更です。 合計で20回……一度に放尿するオシッコを20回に分けて放ってから、深々とお辞儀をする彼女たちに、自然に私達の間から拍手が起きました。
1組、3組とも半端じゃないです……凄すぎです。
でも、私達だって黙って敗けるつもりはありません。 一昨日までなら勝負にならなかったでしょうけど、今は色んなアイデアがあります。 ただ3メートルをクリアするだけの噴水では終わりません。 ひとしきり1、3組に拍手を送ってから、私たちは誰ともなしに集まって円陣を組みました。
「まず、全員3メートルをクリアしよう」
「それが出来たら、次は再利用とモデリングだよね」
「1組のアレ、参考にしようよ。 ただ重ねるんじゃなくて、綺麗に、よく見えるように」
「3組みたいにメリハリをつけるのもいいと思う」
「欲張り過ぎたら元も子もない。 【2番】さんに仕切って貰って、1つずつ磨いていきましょう」
『清流噴水』……漢字で書けば綺麗ですが、要は『ウンチ噴水』です。 それでも、みんなで力を合わせるという一点において、クラスが1つになったのは多分コレが初めてでしょう。 どの瞳にも気力と意志が籠っていました。
「清流噴水、絶対成功させるよ! いち、に、さん……」
「「おおー!!」」
即席の号令に大声で乗っかってくれるクラスメイトたち。 この午前中が最後のブラッシュアップです。 演技の完成度こそ1、3組より下かもしれません。 でも、気持ちの面では2組が絶対1番
です。