第5話 エスコート-3
【机】や【メモ帳】以外にも、
【椅子】――壁にもたれて空気椅子を作ったり、まんぐり返しに床に寝そべってお尻を座椅子に見立てたり、床に腹ばいにになって手足を縮めて座布団を模したりしました。 常にオマンコを拡げるように、それでいておつゆで来賓を汚してはいけないため、姿勢には逐一気を遣います。
【簡易トイレ】――ひざまづいて口を開け、急に催した排泄物を戴きます。 量はもちろん大小も問わず、すべて咽喉を経て体内に納める役目です。 排泄後に舌を尊穴に入れさせていただき、舌を清めさせていただくところまでがルーティンになります。
【落とし物拾い】――膝でいざり歩き、落ちたものを口で咥えて戻します。 埃や汚れは鼻で吸い込み、極力唾液が付かないよう唇の端でとらえます。 こういった些細な仕草が出来ているかどうかは、学園において私達が自分の『上品さ』を表すことができる数少ない場面です。 夢疎かにはできません。
【履物揃え】――和室や桟敷が設(しつら)えてあれば、来賓といえど履物を脱ぎます。 脱いだ履物の爪先を揃えることで、次に履く時にやりやすいようにするのも、エスコート係の役目です。 整理する際は、履物の踵ではなく、爪先部分に敬意を込めて接吻します。 靴の踵に唾液がついてしまうと御身足を納めた時に足を汚してしまいますから、常に相手の立場にたって、最も咥えるに相応しい場所に想いを致さなければなりません。 爪先に口づけ手、そのまま顔全体を使って靴をずらすやり方が、最も礼儀にかなっています。
【ハンカチ】――来賓の方がお手を洗われてから水気を拭う時は、すかさずハンカチ役として振舞います。 お尻の割れ目と胸の谷間に、事前に微量のサンドペーパーを仕込んでおくんです。 来賓の方が私達を使う気持ちになってくれて、水で濡れた手を差し出してくれれば、すかさず胸、またはお尻で挟み、水気をこそぎ取るでしょう。 或は単純に舌で舐めとるかもしれません。 ただ、どちらにしても来賓の方のお好みなので、中にはエスコート係の身体で拭くことを躊躇う場合もあるでしょう。 そういう場合は、黙って傍に控えます。 私を使うかどうかにかかわらず、いつでもご利用に供するため、準備を怠ってはいけません。
その他、床に仰向けになって靴の底を舐めさせてもらう【靴マット】、オマンコに鈴を咥えて腰を揺らして合図を鳴らす【呼び鈴】、湿布や絆創膏をオマンコ越しに貼りつける【救急箱】など、考える限りたくさんの役割を練習しました。
当日の私達はBグループもCグループも全裸だそうです。 首輪をつけて、菱縄をうたれた格好で荷物持ちをしたり、道具の役を担います。 顔は黒革の目隠しと鼻フック、腕は背中で高手小手縛りで固定され、先輩がクイクイと引く縄にしたがって移動します。 細かい機転は、基本的に手を使わず、口とオマンコ、アナルで対応します。 眼が見えないのにどうやって機転を利かすのか尋ねると、フックやプラグ、道具類の着脱はAグループの先輩がしてくれるので『目が見えなくても次の行動を予測しろ』ということでした。 また、耳に栓はしておらず、Aグループの先輩と来賓の会話をしっかり聞いて、どんな状況にあってどう振舞えばいいか『会話の中からヒントを掴め』とも言われました。 随分無茶に聞こえますが、先輩方と私達は共にエスコートするチームです。 もしも指示が通らなくてエスコートが不調に終わったら、先輩方にとっても不本意に決まってます。 きっとさりげなく会話にヒントを盛り込んで、私達に指示を出してくれるコトでしょう。
学園祭の本番は明後日です。 明日の午後からリハーサルで、ステージ、出店、クラス発表、メイン展示など、催し物は一通り発表する運びになっています。 そこを利用して『エスコートを練習する』と言われました。 いきなり本番は困ると思っていたものの、本番前日の忙しい中で苛まれるっていうのは……それはそれで気が重いですよね。 でも、うん、ここは踏ん張りどころです。 ちゃんとエスコートして、クラス演技が甘かったとしても『せめて私は頑張った』っていう証拠を残せるなら、頑張る甲斐があるってもんです。
と、自分のことばっかり考えて約2時間の打ち合わせを終えた時、窓からC棟のC−2組に明かりがついているのが見えました。 ハッとなりました。 みんな……ちゃんと頑張って練習してます。 窓越しに色んなポーズで浣腸をし合うクラスメイトの姿がありました。 心のどこかで、もう練習を終えて帰ったんじゃないか、なんて思ってたのに……みんな頑張ってくれてたんですか……。
というか、ほとんど全部の教室に明かりがついていて、何がしか練習しているようです。 こうしてみると、学園祭って、改めて大イベントなんですよね……そんなイベントで、私達がメインの展示を任されている……心臓がドキドキ早鐘です。 もちろん『楽しみ』っていうか、その真逆ですけど……。
私は生徒会室から自分の教室に向かいます。 エスコートで私自身が成功するのは当然ですが、どうせならクラスも成功、自分も成功して初めて高く評価してもらえますよね。 今日は残り時間がほとんどありませんけど、少しでも練習に参加したくって、自然と早足になりました。