訃と夫と婦-9
さすがに長時間舐め続けるには限界があった。
豊川は、口を離し上半身を起こした。
ベッドに横たわる望未のカラダを、あらためてマジマジと見つめた。
別れて6年、裸を見るのであれば約10年ぶりになる。そこには、流れ去った月日がしっかりと刻みこまれていた。胸の張りは落ち、くびれていたウエストも、申し訳ない程度に残っているだけで、腹回りは肉付きが良くなっている。
離婚直前は、男がいたからか、それまでとは違って見た目に気を使うような素振りが見受けられたものだが、今のこのカラダの様子を伺う限り、生活していく中で、そっちまで手を掛ける余裕がないことを示しているかのようだった。
一言で言えば、老けたし、苦労もしているんだろう。
今日が、望未の一時の気まぐれなのかもしれないが、豊川としては、これから先、今までとは違った携わり方をしなければと思った。
それほど長くはなかったが、臭いオマンコを舐めさせてしまい、豊川には悪いことをしてしまったと、望未は思っていた。
自分自身でも、何故そんなことをさせてしまったのか理解できていない。望未の中で、一番させたくない、して欲しくない行為であるにもかかわらず、自ら導いてしまった。そのことへの自己嫌悪が心の中を充満している。
でも、何か吹っ切れた気もしていた。
『少しは肩の力を抜いたらどうだ』
父の言葉を思い出す。
豊川が相手だからこそ、ここまで出来たんだとも思っていた。このまま、心も身体もリラックスした状態で、身を任せようとも思った。
そして、こうなったた以上、豊川のチンポを受け入れなければならない。いや、受け入れたいと強く思った。
その想いが伝わったのか、上半身を起こしていた豊川が、望未のカラダに覆い被さってきた。
望未が脚をそっと広げると、豊川も阿吽の呼吸でチンポを膣口に当てがった。
元夫婦ということもあってか、互いに避妊することは頭になかった。まだ閉経はしていなかったが、その時はその時だと望未は頭の片隅で思っていた。
ズブリと、豊川のチンポが望未の中に入ってくる。
「はぁぁぁぁぁっぅんっっ、はぁぁん」
実に久々の挿入。望未は、両手を豊川の背中に回し、しっかりとしがみついた。
豊川は、望未の喘ぎ声を耳にし、すぐにでも奥深くまで突き上げ、より大きな声を聞きたいと思った。
しかし、焦らすようにゆっくりと腰を沈めていった。今日の望未の反応を見ていると、少しでも焦らした方が、もっともっと弾けてくれそうな気がしたからだ。
「はぁぁーーっ、ふぅぅん」
豊川の亀頭の先端が、望未のオマンコの最深部に辿り着くと、望未は深いタメ息のような喘ぎを発した。
そのまま、ゆっくりと豊川のピストンが始まると、それに合わせて望未の喘ぎ声が漏れる。
喘ぎ声と一緒に、オマンコからはジュプジュプといやらしい結合音が聞こえる。
「ああぁぁん、ダメ、ダメ、いやぁ〜ん」
望未もその音が聞こえるのか、頭を振って嫌がっている。
「ああぁぁっ、そこ、そこ、そこがいいのぉ」
豊川が少し挿入角度を変えた。望未の感じるポイントは豊川も覚えていた。まだ仲が良かった頃に記憶されたことが、別れた今でも染みついているんだなと、内心苦笑いした。
望未も、快楽とともに、今でも覚えていてくれたことが嬉しかった。
気持ち良さもあって、自然と腰を振っている自分。この時、SEXに対するネガティブな考えは、全くと言っていいほど無くなっていた。
『互いの腹の中を、曝け出してから本当の夫婦になるんだぞ』
望未の頭の中に、また父の言葉が響いた。
あの時、父が言った言葉には、SEXのことは含まれてはいなかったとは思うが、こと性生活においても、自らの羞恥心を開放すろことが大切だったのだ。
互いにエロを堪能することも、夫婦円満の秘訣の一つ。もしかしたら、父はそこまで指摘していたのかもしれない。
そう言えば、豊川の性癖なんて何一つ知らない。知ろうとも思わなかったし、豊川から告白されることもなかった。
豊川自身、恥ずかしさもあっただろうが、望未にはそうさせない雰囲気が常に漂っていたのだろう。
豊川は、望未の反応を見ながら、腰を振る。
一旦奥まで深く刺さったチンポを、亀頭部分だけが入っている位置まで抜く。
竿の部分は、白濁してヨーグルト状になった望未のスケベ汁が、べったりと付着している。そのままじっとしていると、いやらしい臭いが鼻腔付近にまで漂ってくる。
「もっと、もっとちょうだい。いっぱい、いっぱい挿れてぇ」
哀願に近い望未の瞳に答えるように、豊川は再び腰を振り始めた。
パンパンパンと、腰がぶつかりあうたびに、望未はのけ反って感じていた。
ウエスト付近をがっしりと掴み、少しでも奥深く突き刺さるように腰を入れる。
「あぁぁぁぁぁーーーー」
絶頂へのカウントダウンが始まった。
「ああっ、ダメ、ダメ、気持ちいい。そこ、そこ、あぁぁっ、ああっ、イクっイクっ、イクぅーーーーーーーーー」
ビクン、ビクンと2度ほどカラダが跳ねるようにして、望未が絶頂を迎えた。
絶頂の瞬間、豊川にしがみつき、イッた後も、そのままの体勢で余韻を味わっていた。
しばらくはそのままでいたが、我に返った望未は、豊川がまだ絶頂に達していないことに気づいた。
「あなたもイって。気持ち良くなって」
『あなた』なんて何年振りに聞いただろうか。久しぶりに聞いた言葉に、豊川は興奮を覚え、再び腰を振った。
そして、絶頂を迎える。
「あぁっ、イキそうだ。望未、イクぞ」
豊川も、久しぶりにファーストネームで呼んだ。
望未も、そのことに気を良くしたのか、発射寸前にオマンコから抜いたチンポに、むしゃぶるように吸い付いた。
豊川の精子は、望未の口の中に勢いよく放たれた。