寝返り-2
タクミが洗い物をしながら、
自分の斜め後ろに立つ
ちづるにそう言うと、
ちづるは答える。
「 え? ぁ、、ふふ
本当? 出来る?」
「で き ま すーー。」
「じゃあ、、うん あの、、
お願いしマス。」
「 うん。」
ちづるはタクミにそう言うと
洗濯物を干し始めた。
リビングで、
テレビを見ながら干すが
なんとなくタクミの事が気になる。
「、 、 、、。」
喧嘩しちゃったから
気を使って くれてる?
ちづるは
洗濯物をベランダに出し終わると
ソファーに座り再びテレビを見る。
すると、タクミもちょうど
洗い物を終えてソファーに座る。
いつものように
並んで座り、タクミが話す。
「2時ぐらいだっけ? 出るの。」
「うん。」
「帰り、遅いんだよね?」
「そーなの。
団体の予約も入ってるから、、。
帰ってくるの
10時すぎになっちゃうかなぁ。」
「なんか、買い物しとこうか?」
「 、え?」
「夕飯の。
あ、お弁当は?
駅の近くに結構うまい弁当屋が
出来たの知ってる?」
「 、、そーなんだ。」
「そこで買っておくよ。
遅いなら料理、大変でしょ?」
「 、 、、。」
なんか タクミ君が
優しすぎる
嬉しい けど なんか、、、
「 ? どーしたの?」
「、 、、、。」
っ んーーー、、?
妙に優しいのは、、、
あ 。
なんか 今
ピンときたかも っ!
「 ?
、、、ちづちゃーーん?」
「、、、ね。
タクミ君、もしかして、、」
「 ん?」
ちづるは
少しだけ不敵な笑みを浮かべている。
ニヤニヤしてしまうのを
堪えようとしながら言う。
「 浮気。 しちゃった?」
「 、 は ? 」
「、、、当たり?」
「、 、 、 、。」
何言ってんだ この人
自信満々に、、、。
、、、ちづちゃんの この
ズレとゆーか。
この勘の悪さは 一体
「、 、 、、、。」
「、 、 、ん?」
あれ? なんか
タクミ君 変な顔してる
外れた、 、、?
、 、 、 、、
! !!
もしかして っ !!
浮気相手は
やっぱり 私!!?
『浮気相手はアナタです。』
って 思ってる とか!? ?
「、 、、、ちづちゃん。」
「っ! はっ い !?」
「 ?
ちづちゃんって本当さー、、、」
「 、〜 っ! ごめん!」
「 何が?」
「私、、、思った事とか
タクミ君にはすぐに
言っちゃうかも、、、。
なんか、
うまく心に置いておけない?
ってゆーか、 」
「、、いやー まぁ、
それはいいけど。
浮気って発想はどっから?」
「 え?」
「俺が
浮気してるかどーかは置いといて。
その発想は、
一体どっからくんの?」
「 ぇーーと、、、。
だって なんか ぁの、、
タクミ君、いつもより優しいから。
、、、。
男の人が優しくなるのは、、。
浮気をすると、、、
後ろめたさで? みたいな?
雑誌とかにも
書いてあったし。」
「、 、 、、。」
ちづるが背中を丸めて
モニョモニョと
言い訳をするように話す。
悪い事をした生徒が、
先生に怒られているような
構図になってしまっている。
先生は、生徒の不審な行動を
見逃さない。
雑誌に、と言った時
ちづるの目は本棚を一瞬だけ見た。
タクミはため息をついた後に
立ち上がり、
ソファーの後ろの小さな本棚の
前にかがむ。
1番、取りやすい場所に
1冊の雑誌がある。
タクミはその雑誌を
手に取ると、ソファーに戻る。
表紙に書いてある文章を読み上げる。
「『男心、完全攻略。
浮気後、
彼の行動はこう変わる。』
、 、 、、。」
「、 、、そう、 そう。」
「、、いや、そうそう じゃなく。
、 、、。
これ、もしかして駅の
ファミマで買った?」
「 ぇっ!?
うん、、そう。
なんで分かるの!?」
「、、、 はーー、、、。」
タクミはため息をつく。