スープ-2
タクミはニュースを眺めながら
考えていた。
しばらくして、テレビを消し
部屋の電気も消した。
寝室に向かう。
寝室で、
ちづるはまだ電気を消しておらず、
布団の中でうつ伏せになり
本を読んでいる。
タクミに気がつくとハッとして
本にしおりを挟みパタンと閉じる。
タクミはいつものように
ちづるの隣に入ろうとする。
ちづるが言う。
「ぁ、、。 今日ねぇ。
知可子、プリン
持ってきてくれたの。」
「んーー? そーなんだ。」
「駅前の所の、、
新しく出来たお店なんだよ。
タクミ君知ってる?」
「 んーー? ううん、 」
?
なんか ちづちゃん
?
「そっかぁ。
男の人はお菓子屋さんなんて、
あんま見ないかなぁ。
でね? プリン
凄く美味しかったよ。
今度タクミ君のも買ってくる!」
「、 、 、、うん。」
あ、 。
「、 、、でも、あれだよね。
昨日も今日も寝てただけなのに。
それで甘いもの食べてたら、、。
太っちゃうかも。 ふふっ 」
「 、 、、。」
「 ? どうしたの?」
タクミは、布団の中で
横になりながら手で頭を支え起こし
うつ伏せでお喋りをしていた
ちづるをじっと見る。
夕飯の時から、
ちづるに対して小さな違和感を
感じていた。
今やっと、その理由が見つかる。
ちづるは
本人も気がついていないが、
少し無理をして喋り続けているように
感じた。
もともとのちづるの性格は
自分が喋る以上に、
相手の話を聞いて楽しむ人だと、
タクミにはもう分かっていた。
タクミは少し考える。
喧嘩をしてしまった事。
それが、こんな形で
ちづるに気を使わせている。
「、 、 、、。」
「タクミ君?」
「、、、んーー?」
「、? ぁ、、。
もしかして、タクミ君も
あんまり寝てない?」
「 え?」
「夜はっ!
寝るためにあるのデス。
明日の為にーー。
寝よっか。 」
「 、 、、。」
「消すねぇ。おやすみ っ」
ちづるはリモコンを持ち
電気を消した。
豆電球になった。
タクミは、
さっきの体勢のまま、
仰向けになり目を閉じたちづるを
じっと見て言う。
「、 、、。
俺、まだ眠くないけど?」
「 ぇーー?
いつも寝るのと同じ時間だよ?」
「、、。
寝れなかったの?」
「 ぇ? 」
「今、タクミ君も、って。
言ったから、、。」
「 、、ぇーー?私?
言ったっけ?」
「言ったよ。
、、ちづちゃん、
寝れなかったんだ。」
「、んーー、、。 少し。」
「 そう。
、 、、。
ねぇ、さっきニュースでさぁ。」
「 ぅん?」
ちづるは
仰向けで目を瞑りながら
タクミの声に耳を傾けている。
「若い男が、同棲中の女の子を
刺しちゃったんだって。
ここから結構、近い所だったよ。」
「 っ ぇーーー?
怖いねぇ。」
「うん。
、、、別れ話のもつれ、だって。」
「 そっか。」
「、、、。
ちづちゃんは さぁ。
もし、、浮気されたら、、。
恋人の男と、浮気相手の女。
どっちを刺すと思う?」
「、 ぇ? 」
ちづるは思わず目を開けた。
タクミがじっと見ている。
ちづるが言う。
「、、、ふふっ
怖い事言わないでよ。」
「 、、 俺は、 ね。
俺だったら、、、。
恋人の女を、刺すと思う。」
「、 、 、、、。」
「相手の男なんて、、
どーでもいいかも。
間違いなく、恋人を責める。」
「 、 、、そっ か。」
「、 、、ところで、さぁ。」
「 ! んっ ? 、 、、」