朝日-3
健はタクミの顔を見て
考えながら言う。
「じゃあ、、
キスでもしてた、とか?」
「 はぁ? するわけないじゃん。」
「 え? 、 、、、。」
「 ?」
「送った、だけで怒ったの?」
「、、うん。」
「、 、 、、、。」
「、 、 、、、。」
2人の間に妙な沈黙が流れる。
タクミが静かに言う。
「でも、その前に俺の送りの
誘いを断ってんだよ?」
「いや、でも、、。
その時は1人で帰るつもりで
いたからでしょ? 」
「、 、 、、っ 」
「、 、 、、。」
再び、少し沈黙した後に
タクミは言う。
「 、、違うんだよ。
ちづ、 、 常盤さんは
いつも俺に隠そうとするんだよ。」
「、 、、。」
「自分の都合の悪いことは、、
いつも。
バレなきゃいいと思ってんだよ。」
「、、、。 んーー、、
でもさぁ。
なんてゆーか、、。
言っていい?」
「 なんだよ。」
「それって結構、
普通じゃない?」
「 、 、、」
「皆、そーじゃない?
自分の都合の悪いことは
言わないっしょ。
タクミだって、、 」
「 ?」
「ゆかと付き合いかぶってた
時期とかあったんじゃない?
そういうの、
細かく常盤さんに言ったの?」
「 っ! 、、、、。」
「あれ?
かぶってはなかったんだっけ?」
「 、 、っ そんな 」
「 ?」
「、、昔の事、忘れた。」
「 ! 、 、 、、」
健は驚いてタクミを見る。
タクミの言い方は
あまりに子供染みていて、
健は思わずアハハと笑いながら言う。
「〜っ っ ぇーー??
タクミ君、ひっどーーい!
サイテーーー 〜っ、 」
「、 、 、、。」
タクミは決まりの悪そうな顔をする。
健は、子供のようにすねている
タクミに言う。
「〜っ、ごめんごめんっ。
じゃあ、俺がっ!
恋愛アドバイス!
してあげましょう。」
「 はーぁ?」
タクミは少し、
ふてくされた気持ちがあったが、
健の冗談のような言い方に
乗る事にした。
タクミが小さく
「じゃあ、お願いします。」
と言うと、健の顔が真剣になる。
タクミを、まっすぐに見つめて言う。
「そんな、
深く考えなくてよくない?」
「 、 、 は?」
「なるようにしか、ならないし。
そういうの考える時間
もったいなくない?」
「 、、、え ?
それが、アドバイス?」
「 、 、、 うん。」
「っ はーーー、、
お前ね、、。
はぁ。
っつーかさーー、、
そんな冷たい事、普通言う? 」
「 、 、 、、。」
「 考えたくて
考えてる訳じゃないし、、。」
「、 、、ふふっ
覚えてないの?」
「 は?」
「こういう恋愛アドバイス〜
いつもしてる人。
むかーし、、
いなかったっけ?」
「 ? 」
こういう ?
、あ 。
タクミはふと、思い出す。
タクミは
友達には恋愛話を
あまりしない方で
誰と付き合う事にした、などの
報告ばかりだった。
一方で、健や他の友達は
女の子との付き合いや悩みなどを
お喋りしているのをタクミも
聞いていた。
たまに『タクミはどう思う?』
と、話題をふられると
タクミは決まって
このような返答をよくしていた。
『深く考えなくてよくない?』
『なるようにしか、ならない。』
『考える時間がもったいない。』
タクミが思い出した事が
表情で分かった。
ニヤニヤしている健に
タクミが言う。
「お前。
性格悪くなった。 」
「、、、 ふ っ
タクミは、
常盤さんと付き合ってから
性格変わった。」
「、 、 、 、。」
「、 、 、、ふふっ
許して あげたら?」
「 ! 」
「っつーか。
許したいんでしょ?」
「、 、 、、。」
「ってゆーか、
1回そんな風に責めちゃったなら
許すしか道はなくない?」
「、 、 、、。」
「それか、別れるか。」
「 っ! 、 、、。」
「まぁ、、 うん。
応援してるよ。
常盤さんの手料理、
まだ食べてないし。」
「、、、。別に。
仲直りしても、
家には呼ばないから。」
「あっそー。
まぁ、俺は〜
タクミと常盤さん別れちゃっても、
タコパーあるしぃ。」
「 ! 、、 、 、。」
「ふふっ、 うそうそー。」
「、、あっそ。」
「座ってると身体冷えるね〜。
少し歩かない?」
「、 、、ん。」
それから2人は歩き出し
少し公園を散歩してから学校に戻った。
学校まで歩いている時、
タクミは今日、ちづるの家に
行こうと決めた。