エピローグ-1
「エピローグ」
雑居ビルの一室で誠が 凌辱されてから 四週間が 過ぎていた
誠は 再びリーダー各の少年の家に 呼び出されていた
部屋の中にいるのは リーダー各の少年だけだった
「よぉ!!来たな」
少年は 椅子に座ったまま 誠に手招きをする
誠は ゆっくりと 歩み寄っていった
オーバーオールの裾から覗く誠の足は 赤いストッキングを穿いていた
椅子に座ったままの少年は 誠の足もとを眺めている
「穿いて来たんだな」
誠は 黙って うなずいた
リーダー各の少年は 立ち上がり 誠に背を向けながら 小さな声で呟いた
「もう…終わりにしてやるよ…」
誠は 何を言われたのか理解できずに佇んでいた
少年は 誠に背を向けたまま呟く
「もう…終わりにしてやるっつってんだ…俺らも もう卒業だしな…親も うるせぇから 高校いかねぇとな…おめぇにかまってる暇も ねぇんだ…だから…もういい…」
誠は 驚いて 聞き返した
「もういいって…それじゃ…」
少年は 振り返り 誠と視線を合わせる
「動画のことか?ありゃぁな…最初っから録画なんか してねぇんだよ…おめぇを脅しただけだ…」
誠は 驚いた顔をして聞き返す
「でも…」
少年は 誠と視線を合わせたまま呟く
「安心しろ…仲間達にも おめぇには ちょっかい出すなって言ってある…」
誠は 言葉を失っていた
少年は 誠から視線を反らすと呟いた
「帰れ」
誠は 黙って うなずくと 玄関に向かって静かに歩き出した
玄関の扉を開けて外に出ると 振り返った
少年が 扉を閉めながら 小さく呟いた
「悪かったな…」
誠が 聞き間違えかと思った時に 扉が バタンッと閉まった
誠は しばらく その場に佇んでいたが やがて 少年の家を後にした
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━
━━━━━━
━━━
それから 半年が 過ぎた
誠は 吉祥寺の量販店で買い物を済ませた後 店の前の路地でガードレールに座り 煙草を吸っていた
少年達に 始めて出会った場所である
あれ以来 少年達から連絡がくる事は無かった
時々 仲間の少年に出会う事はあったが 少年達は 誠と目が合っても 何も言わずに立ち去っていった
誠は 煙草を吸い終わると ガードレールから立ち上がった
その時 黒いタンクトップの肩口がずれて 赤いブラジャーの肩紐が露出した
誠は 辺りを見回しながらタンクトップのずれを直すと リーダー各の少年の家に向かって歩き出したのだった
(終わり)