〈兄と妹〉-7
「き…気持ち良いッ…ヒック…おッ…オッパイ感じちゃう……ッ」
『感じちゃうんだ?気持ち良いんだ?プックック……お兄ちゃんの指が気持ち良いなんて嬉しいなあ……プププッ!』
荒い吐息を耳にハアハアと吹き掛けながら、長髪男は亜季のまっ平らな胸板をまさぐった。
寄せても集まらない胸肉を掌で包み、桃色の石つぶてと化した硬い乳首を思うままに弄ぶ。
『亜季ちゃん、恥ずかしがらずに言ってもいいんだよ?ププッ!ほら、どうしたんだよ、亜季ちゃん?ププププ〜ッ!』
「あ…うッ…気持ち良いッ…ヒグッ…ひッ…ち、乳首…気持ち良い…ッ」
『へッ…ちゃんと言えんじゃねえか。始めっからそうしてりゃあ、ごみクズが二匹も餌食にならなくて済んだのによぉ?オマエが変な意地なんか張らなけりゃあ……なあ?』
彩子への凌辱は亜季の言動とは無関係だったように、麻矢の凌辱映像は既に録画されていた物だった。
あの二人は愛と亜季の共通の友人であったし、そんな二人を拉致・凌辱したとなれば、その毒牙の向かう先は姉の愛しか居なくなると亜季は思うはず……。
首謀者には愛が居れば充分だったし、長髪男は亜季さえ居れば満足だった。
ジュニアアイドル界のNo.1とNo.2を手中に収められた今、彩子や麻矢などといった三流アイドルなど、確かに“ごみクズ”の一言で片付けてもよい存在でしかない。
長髪男は、そんなごみクズを有効活用し、亜季から希望を奪い取った。
此所から逃げられても大切な友人は居らず、その気になれば何時でも姉の愛を拉致して監禁出来ると脅迫する。
それが小学生の子供にとって、どれほど怖い事なのかを考えもしない。
人生を奪われるという残酷さを、微塵も思いもしない……。
『乳首が気持ち良いか?じゃあお兄ちゃんも気持ち良くさせてやれよぉ……オマエばっかり楽しんでんじゃねえよ、バカ野郎……』
人権など知らない。
人格など不必要。
前園亜季という少女をこの世から消し去り、[亜季]という名前しか持たない妹に生まれ変わらせる……長髪男はベッドに大の字に転がり、亜季はその傍で狼狽えるのみ……ただ弄ばれ続けただけの亜季には、男女間での情交など知る由もないのだ……。
『……なにまた黙ってんだよぉ?何すればいいか分からなかったらお兄ちゃんに聞けよ?』
今にも涙を溢しそうな瞳が、キラキラと輝きながら首謀者に向いている。
可哀想……とは思わない。
飼い主となった男が亜季を妹として飼育すると決めた以上、それに従うしかないのだ。