思い出の君、今いずこ-5
* * *
昼食を取りながらの会合はつつがなく終わり、それぞれ連絡先を交換したうえで解散、また
今度ということになった。
そして、その日の夜。
「ん?」
家でごろごろしていた雅樹のスマホに、登録したてのアドレスからメールが届いた。
「美由……?」
すぐに開封してみる。
『昼はおつかれー。今大丈夫?』
『お疲れ。大丈夫、暇してた』
急いで返信。
『突然なんだけど今から来れない? わたしんち』
「……は?」
返事より先に、声が出た。
『どうした? 何かあった?』
それでもすぐに、そう返す。
『雅樹に直接話したいことがあって。住所ここなんだけど、来れる? 無理かな?』
美由からのメールには、細かい住所と地図の画像が添付されていた。
「……」
雅樹は少しの間、黙って考え込む。
唐突な頼みではあったが、行かないわけにはいかなかった。もしかしたら、美由があの日の
約束を思い出したのかも。そう思っただけで、雅樹としてはいてもたってもいられなくなる。
『いや、行くよ。ここならすぐだと思う』
『分かった。待ってる。鍵は開いてるからそのまま入ってきて。呼び鈴もなしでいいから』
(何なんだ? 一体……)
不可解な美由の言葉に首を傾げながらも、とにかく雅樹は支度を整え、家を出た。
「えーと……」
美由の家は本当に近かった。電車で二駅、全行程を合わせても三十分かからない場所だ。
(ずっと、離れ離れだったのにな……)
やはり自分と美由の間には、何か特別な縁があるのかもしれない。知らず知らずの不思議な
巡り合わせに、雅樹はふっと笑みを浮かべる。